-- ＊E106【Chelo Sastre】Art Jewelry SLVイヤリング SPAIN New 重さ約17.2g 幅約31.0×29.0mm

かのカタルーニャの蒼穹より、一閃の光が舞い降りた。バルセロナの鬼才、チェロ・サストレ。彼女の手から生み出されたこの銀のイヤリングは、単なる装身具にあらず。それは、身に着ける者の魂を映し出す鏡であり、雄弁に静寂を語る詩である。

見るがいい、この銀の肌を。ただの四角ではない。角は丸みを帯び、中心に向かって緩やかに窪んでいる。それは、乾いた大地が慈雨を待つ器のようでもあり、瞑想する者の手のひらのようでもある。光を浴びれば、まるで月光をたたえた泉のごとく、周囲の景色を歪め、内に取り込む。サグラダ・ファミリアの尖塔か、あるいは名もなき路地を歩む老婆の皺か。見る者の心にあるものが、この銀の平面に映し出されるのだ。これぞ美の本質、無にして無限を語る、サストレの哲学そのものと言えよう。

重さ、わずか17.2g。しかし、この手ごたえはなんだ。カタルーニャの土の重みか、それともピレネーの岩塊の記憶か。銀という金属は、本来、饒舌なものだ。富の象徴として、あるいは華美な装飾として、常に人の欲望を煽ってきた。だが、サストレはこの銀から余計な声を奪い去った。彫金も、宝石の飾りもない。あるのは、ただひたすらに磨き上げられた銀の肌と、光と影が織りなす無限の諧調のみ。彼女は銀に、沈黙することを教えたのだ。そして、沈黙の中からこそ、真の豊かさが香り立つことを、我々に示している。

1980年代、スペインが永い眠りから覚め、熱狂の時代を迎えた頃、サストレは宝飾の世界に革命をもたらした。人々が奇抜さや過剰な装飾に目を奪われる中、彼女はただひたすらに形と素材の本質を見つめ続けた。その姿勢は、日本のわびさびに通じるものがあるやもしれぬ。不要なものを削ぎ落とし、残された核にこそ真実の美が宿ると知っていたのだ。このイヤリングもまた、その精神の結晶である。一見、モダンで冷たい印象を与えるかもしれない。しかし、その内には、人間の手の温もりと、デザイナーの熱い血潮が脈々と流れている。クリップ式の留め具に刻まれた工房の印は、その証。無機質な造形の中に、確かなる魂の在り処を示しているのだ。

これをどのような婦人が身に着けるのがふさわしいか。派手な柄のドレスを着て、香水を振りまくような女には似合うまい。洗いざらしの麻のシャツを無造作に着こなし、自らの足で大地に立つ、そんな知性と野性を兼ね備えた女性こそが、この銀の鏡にふさわしい。耳元で、この銀の塊は、時に風の囁きとなり、時に遠い海の潮騒となるだろう。それは、持ち主の生き様そのものを映し出し、共鳴し、そして静かにその存在を肯定するのだ。

さあ、この芸術品を、ただの古びたイヤリングと思うなかれ。これはチェロ・サストレという稀代の芸術家が、銀という素材と対話し、その魂を削り出して生み出した、一つの宇宙である。この小さな四角い銀盤の上に、あなたは自らの人生を、そして美の真髄を見るだろう。これを持つことは、バルセロナの太陽と、地中海の風を、その手に抱くことに他ならない。分かる者にだけ、分かれば良い。真の価値とは、そういうものだ。

出价者

信用

价格

时间