
マリオラ SQ-AB7(改)、
2wayセパレート スピーカーの出品です(^^)/
■YouTube試聴動画です。
https://youtube.com/shorts/IzB_XYpuogwエントリークラスなので、パイオニア カロッツェリアで言う "TS-F1740S-2" 当たりと同じグレードになります。
僭越ながら、本品をPIONEER TS-F1740S-2及びその他製品と比較した場合、大きな違いは2点です。
1.ソフトドーム vs ハードドーム
本品のツイーターはシルクを使ったソフトドームタイプです。
一方、パイオニアのTS-F1740S-2は金属系のハードドームタイプを採用しています。
一般的に、ハードドームは超高域の再生に優れ、ソフトドームは中低域の伸びが良いとされています。
ここで、ソフトドームと聞くと「音が柔らかい」「耳に刺さらない」「優しい」と連想されがちですが、実はシルクのような柔らかい素材でも、振動周波数が高くなると内部損失や共振モードの変化により、実効的な剛性が増したように振る舞います。
この現象は
動的剛性の増加(Dynamic Stiffening)と呼ばれ、
「ソフトドームだから音が柔らかい」という認識は誤解であることが多いのです。
実際に耳が痛い、特にサ行がきつく感じられる原因の多くは、ツイーターとミッドウーファー間の音圧レベルのアンバランスや、特定の周波数帯域(特に低域~中域)の極端なピークやディップによるものです。
これはツイーターの素材自体の問題ではなく、
イコライザーで調整する場合、特に耳への刺激が強いサ行の音(4~8kHz)を抑えるために、6kHz周辺を中心に調整すると効果的です。
話を戻しましょう。
当方の計測によると、パイオニアTS-F1740S-2のツイーター最低共振周波数は2.17kHzでしたが、
本品は1.73kHzと、より低い周波数から安定した再生が可能です。
実用的な音域においては、本品の性能が上回っています。
その一方で、パイオニアの製品はハイレゾ対応として、CD録音可能な20kHzを遥かに超え、なんと
100kHzという超音波領域まで再生可能です。
イルカやコウモリ並みの性能を実現しており、技術的には大変優れていることは間違いありません。
ただ、
人間の聴覚にとっては必ずしも実用的とは言えない部分もあります。
実際に、
40代で16kHz以上をはっきり聞き取れる人は20〜30%程度しかいません。
人間ドックや健康診断での聴力検査で「ピー」と聞こえる高音はわずか4kHz、低音では1kHzです。
我々が普段「高音」と認識している音は、実際にはそれほど高い周波数ではないのです。
つまり、「実際に耳に届き、聴覚上意味のある性能」を追求した本品の方が、多くのユーザーにとって現実的な価値が高いのではないでしょうか。
2,低クロスの重要性と"裏事情!?"ドアスピーカーは、位置的にも指向的にも、おおよそ2kHz手前から上の帯域がリスナーに届きづらくなります。
これは、スピーカーの振動板の面積に起因し、高域になるほど音が広がりにくくなるという物理的な特性によるものです。
ドアスピーカーを上向きにできない以上、これは逆らえない法則です。この問題を、最もコストパフォーマンス良く解決する方法は――
ミッドウーファーが苦手とする帯域を、比較的高い位置に設置されたツイーターで自然につなぐこと。
これが、
セパレートスピーカーがコアキシャルタイプよりも絶対的に有利とされる理由のひとつです。
ただし、ツイーターにもそれぞれの限界があります。
定格よりも下の帯域で長時間鳴らしたり、規定以上の大音量を流し続ければ、ボイスコイルの焼き付きやユニットの崩壊を招きます。
音質どころか、歪みやノイズが極端に増えることもあります。
教育の理想論と同じで、
無理なく“伸ばす”ことが大事。
そのためには、正しい知識と適切な道具が欠かせません。
では、なぜ“低クロス”は避けられるのか?実は、メーカー側が“低クロス”を積極的に採用しない理由があります。
簡単に言えば、以下の3つです。
1,
ユニットの保護
2,
部品コストの軽減
3,
個体差のマスキング
――つまり、
ペアリングが面倒で、ボロを出したくないからでしょう。
これらの事情については、出品タイトル「
無難な3.3」の商品説明でも触れていますので、気になる方はそちらもご覧ください。
スピーカーにも個体差があるという事実
音の感じ方には個人差があり、左右の耳にも聴力差があります。
そして実は、
スピーカーの個体差は口径が小さいほど大きくなる傾向にあります。
※灰さんも同じようなことを言っていましたし、ご存じの方も一定数はいらっしゃると思います。
特にツイーターはこの個体差が顕著であり、
本気で低クロスをやるなら“ペアマッチ選別”が必須です。
特性の大きく異なるツイーター同士をペアにしないためには、測定器によるチェックが不可欠になります。
検品とは、単に通電して音が出ることを確認するだけではありません。
当方が行っている
「特性による全品検査」は、おそらくパイオニアでも"RSクラス"にならないとやっていないでしょう。
PRSでも多分抜き打ち検査で済ませているので、
そう考えると、デンマークの一部ブランドの品質管理には素直に感心します。
中でも、注目株は"ピアリス(Peerless)"です。
ホントの品質とはなにかよくある例えですが、プロのシェフは食材を選ばずとも美味しい料理を作れます。
しかし、食感や風味といった“仕上がりの質”を左右するのは、やはり選別作業です。
マリオラ SQ-AB7(改)の
「改」は、“あらためる”の意です。
単にネットワークを変更しただけではなく、個々のユニットの特性を確認し、バランスの良い組み合わせに“改めた”仕様となっています。
ちなみに、当方が出品しているスピーカーはすべて同様の検査を経たものです。
単なる音出し確認や動作チェックとは異なり、
特性確認は手間も時間もかかるため、全部の出品を一時止めることもしばしばあります。
我々人間の聴覚も、朝と晩で“身長が変わる”ように、その時々でコンディションが変わります。
同じ曲を聴いても、気分によって感じ方が変わることもあるでしょう。
もちろん、測定器が“絶対”とは限りません。
しかし――
測定器を使わない場合は、絶対に“安定した判断”はできません。
幸い、本品はバラつきが少なく、かなり助かっております(笑)
ハイパスフィルターの"正体"はパッシブクロスオーバーネットワークのハイパス/ローパス
フィルターは、周波数帯域によって変化する“抵抗”のような存在です。
「フィルター」とはその名の通り“ろ過装置”であり、
たとえばハイパスフィルターなら、高域はほとんど減衰せずにスルーしますが、低域になるにつれてインピーダンス(=見かけの抵抗値)が上昇し、
音は徐々に小さく、あるいはまったく出なくなっていきます。
実際の例ですが、インピーダンスが約3.8Ωのツイーターに、10μFの一次ハイパスを通した場合、4kHz時点での合成インピーダンスは約9.9Ωになります。
一方、
3.3μFに変更すると、なんと48.9Ωまで跳ね上がります。
もう“壁”です(笑)
あくまで例えですが、
スピーカーを電球に置き換えるなら、もはや“風前の灯火”。
人間の耳は特に音量(=音圧)に敏感で、1~2dBの違いでも容易に聞き分けられると言われています。
インピーダンスで見れば、それだけで約5倍もの違いが出てくるのです。
とはいえ、容量の小さいコンデンサーがダメという話ではありません。
超高域を再生するスーパーツイーターにはむしろ向いているため、適材適所で使い分ければ全く問題ありません。
最後に――
「エントリークラス=初心者向き」とは限りません。
インストールのしやすさという点では、やはり国内メーカーが親切です。
むしろ本品は、“音の原点”に立ち返りたい方にこそおすすめです。
※
ちなみに「ゴールデンヒップ」はもっと良いですよ〜(^^♪■セット内容
6.5インチ ミッドウーファー ペア
20mm シルクドームツイーター ペア
10uFツイーター用ハイパスフィルタ ペア
※日本語取説等はありません。
■スペック
瞬間最大入力:80 W
定格入力:40 W
再生周波数帯域:60 Hz~20 KHz
出力音圧レベル:89 dB
インピーダンス:4 Ω
■重要
輸入品につき、神経質の方はご遠慮下さい。
音質に影響しない小キズ、スレ、塗装ムラ等は付き物とお考え下さい。