フランスＧＲＭにも匹敵する、ベルギーはブルージュを拠点にする電子音響音楽研究施設、ＩＭＥＢが主催する電子音楽コンクール、国際エレクトロアクースティックミュージックコンクールに於ける受賞作品のほぼすべてを網羅することになるコンピレーションアルバムシリーズがこちらのCULTURES ELECTRONIQUESシリーズで、１９８６年から２００７年にかけてリリースされ、全部で２０タイトルあまりがリリースされ、そのほとんどは２枚組ＣＤとしてリリースされていたシリーズもの。世界の２９か国を代表する１４１人の作曲家による１８９の受賞作品の全てを収録しているというのも画期的で、本掲載盤はこのシリーズの第三集にあたり、通常は２枚組でリリースされる事が多いこのシリーズとしては例外的に１枚物ＣＤでリリースされていたアルバム。収録の作曲家は一般的な認知度は低いとはいえ、電子音楽コレクターにとってはお馴染みの顔ぶれというか、この筋の大家ばかり。では各々の単体アルバムに収録済みなのかといえばそうではないトラックばかりというのが本作の実に得難いポイント。収録順に説明すると、まずは１９４１年生まれで２０２５年に故人となったオーストリアはウイーン出身の現代音楽・作曲家で、若い頃にメシアンに師事し、６０年代にはフランスのＧＲＭへ赴いてフランソワバイルとピエールシェフェールにも学び、その後はこの経験を基軸にした電子音楽を積極的に取り入れた独自の作法で個性的な楽曲を世に投下し続けたディーターカウフマン。本作に収録されている２つのトラックは本作にしか収録が無い貴重な電子音楽トラック。次は１９２６年生まれで２０２３年に故人となったフランスはパリ出身の現代音楽・作曲家で、若い頃にナディアブーランジェに作曲を師事し、そのかたわらでは既成の音楽観には囚われない様々な音響実験を繰り返し、１９４０年代には既に磁気テープによる未知の響きのに可能性、これは取りも直さず後にピエールシェフェールがミュージックコンクレートと称する事になる音響の在り方、を直感的に発見していたという記載が海外のサイトには紹介されていて、ちょっとした驚き。１９６３年になると楽音を用いた作曲とは決別して、自然音や具体音を用いた電子音響コンポジションへと完全に移行することを決意。その後のこの人の作品は全てが純粋に磁気テープを用いた構成法で創作され、コンサートに於いては複数のスピーカーを用いて実演。これらは楽曲ごとに可変される音響システムとして機能する、謂わばこれらの要素も含めて楽曲の一部となっているであろう事は想像に難くないところ。本作に収録のトラックもこれでしか聴く事ができない貴重なトラック。続いて２０１７年生まれで２００７年に故人となったハンガリーはディオシェグ出身の現代音楽・作曲家で、若い頃にまだ存命中だったゾルタンコダーイに作曲を師事した事を皮切りに、ユトレヒト大学ではゴットフリートミハイルケーニッヒに電子音楽の作曲法を学んだことがきっかけで、通常の作曲から離れて電子音楽家としての経歴が始まっていくといった流れはどこか上記のフランシスドーモンにも相通じる軌跡。本作に収録されている２トラックの内の１つはハンガリー電子音楽のオムニバスアルバムに収録があるものの、もう一つは完全な未発表曲で、コレでしか聴く事ができない貴重なトラック。この人の場合、ソロ名義の単体アルバムとしては８２年にフンガロトンからリリースされていた１４４ Sｏｕｎｄというアルバムしかない事とと上記のハンガリーの電子音楽のオムニバスアルバムに収録がある程度の非常にマニアックな存在。作風は上記の３人ともに非常に共通していて、典型的な８０年代のエレクトロアクースティック系電子音楽の王道的なスタイル。これには当然、ミュージックコンクレートや原始的なテープモンタージュなどの手法が含まれ、そこを起点に各々が通過してきた現代音楽・作曲家として実践してきた独自の作法を通過させることで、それぞれの個性となっているという印象。特にディーターカウフマンは非常に起伏が激しいエキセントリックな展開と無音を含めた強烈なダイナミクスを伴う作風で、特にファナティックな電子音楽コレクターにも支持者の多い人気作家。というわけで、異世界サイケデリクトリップ必至な音のシュールリアリズムとはまさにコレのこと。必聴！！！ CULTURES ELECTRONIQUES-3(le chant du monde)

コンディション：★盤は中古盤として並品（軽いキズ、スレがあります。音トビ無し、再生に影響無し）、ジャケットは中古盤として並品（目だたない程度のスレ、キズ、経年のヨレがあります。端にツメの噛み跡あり）、プラケースは中古盤として並品（スレ、キズが散見されます、ヒビ割れがある場合もあります）★プラケースは経済的理由により新品に交換できません。予め消耗品としてお考えいただけますと幸いです★その他詳しいコンディションにつきましてはご入札前にご質問欄からお問合せください。あくまで中古盤という性質上、完璧なコンディションをお求めの場合はご入札をお控えくださいますよう、よろしくお願いいたします★

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