この出品に関しては、この場を通じてハイモンド高塚社長の偉業と歴史を辿る一品と思われる、MS-2シングルレバーをご紹介、至高のマニアであられる諸兄に向けて長文で語りたく、価格はおまかせします。どうせに抜かれ、送料で抜かれ出品者に残るのは僅かです。

こちらのフリマでこのシングルレバー興味を持って不動、故障品を購入しこのたび修理復活しました。MS-2はBK-100バグキーと同じの台座の上に構築され、台座の下には剛な鉄板を抱いています。これだけでも本当のプロ用であると感じおそらくBK-100と並べれば壮観なペア―となるしょう。

MS-2はハイモンドのWebでも自社にして異色と述べられるシングルレバーであり、接点にOMRONの工業用マイクロSWが使用されています。何と半世紀を経てこのマイクロSWはまだ現行品です。
　おそらく荒波の激しい外洋環境下の遠洋漁船では接点のメンテナンスなどできるはずもなく、高信頼のマイクロSWを選択しています。

　ニューギニア方面ソロモンの電信兵、高塚社長がご経験から通信漁労長の要望に応えたのではないかと思われます。ソロモンで生き残られ高塚社長は、今度は遠洋漁船のライフラインを電鍵で支え、昭和の時代日本国民の海産糧食確保につながります。

　さていったいこのレバーの中点はどうやって出すのか、最大の疑問でした。これは左右のスプリングの圧を調整しニードルが▼マークにあうように調整します。そうすると完璧な対称形でパドルのニュートラル、中立点出しが行えるのです。この調整方法には感激しました。きわめてナチュラルです。

　スプリングを外すと、大きなマイナスネジ状のカップの下にはニードルエンドの主軸を支える上下ボールベアリングが健在、その摺動抵抗の低さはまるでレバーが宙に浮いているような滑らかな動きを呈します。ただしこの部分はシールベアリングではありません。不用意に分解してはなりません。秀逸な主軸の滑らかさは1個でも専用のベアリング玉をなくしたら失われます。

一方一番手前のセットスクリューのストッパはあまり出番がないと思われます。はっきり言って無意味です。レバーの終点はマイクロスイッチの押し切りで決まるからです。これは本品があくまで数の限られた漁船向け試作、試行錯誤であった名残ではないでしょうか。
　打感はマイクロスイッチを押すそのものですが、ストローク、反発においてパドル接点になりうるマイクロスイッチは少なくZ-15Gはこの条件を満たします。なおマイクロスイッチは驚くべきことに現行品でZ-15Gはモノタロウで取り寄せ可能です。

結線は図を参考に、向かっていちばん左をコモンGNDとしてリグからの結線をします。PK4キーヤーは出品物ではありません。

本機はおそらく実際に漁船に搭載されていたであろうと思われる長年の汚れがありました。歴史として残すべきかと汚れにも感じ入りましたが、やはりすべて拭き上げ磨き上げ、新品同様とは言わないまでも、往年の美品の輝きを取り戻しました。なお一部メッキの変色だけはありますので、実用上は問題はないレベルかとは思いますがよく見てください。むしろ新品でないことに価値があるでしょう。

　よみがえったMS-2は貧相な私のシャックではなくJRC、小林等の並ぶふさわしいOMのところに行きたいと申しています。どうぞ歴史的な本機を鎮座末永く来訪者に自慢いただきたく出品いたします。

最後になぜハイモンドの型番MKではなく、MSとは一体なぜか?Single lever？いやMaguroSenではなかったかなどと想像しています。７−８時間の修理、磨き上げ時間を要しました。