1957年生まれ、ウズベキスタンはタシュケント出身の女流現代音楽作曲家で、4歳の時にロシアのヤロスラヴリに移住してそこで幼少期を過ごし、ティーンエイジャーになる頃には音楽を志すようになり、地元のソビノフ音楽院で学んだのをきっかけに、モスクワへ赴いてグネーシン国立音楽大学へ入学。その後、1975年にはオーストラリアに移住してシドニー音楽院でも鍛錬を続け、卒業後はさらに今度はドイツへと移住し、エルムートラッヘンマンに師事。という事なので、クラシック~現代音楽筋の要所を抑えた充分なキャリアを辿ってきた作曲家といった立ち位置。1994年にはオーストラリアへ戻って以来、オーストラリア国籍の作曲家として国内の数多くのオーケストラや、演奏家、オペラ劇団、バレエ用の音楽、映画のサウンドトラックなどのために膨大な楽曲を製作。さらに2000年のシドニーオリンピック、2003年ラグビーワールドカップの音楽も担当したという事で、現在では単に現代音楽という枠を超えてオーストラリアでは最も売れっ子の作曲家の一人と言っても良いほど。まあ、こういう経歴なので、現代音楽とはいえ、バリバリのアヴァンギャルド~実験音楽の探求といった側面はほとんど無くて、どちらかというと新古典主義的なポストモダン系調性音楽の枠内にあるメインストリーム派というのが基軸の音楽性。と、ここまでなら、何事も無く奇天烈ナニコレ?音楽好きにはスルー状態というのもやむなしだったわけなのに、そこに登場するのが本作。いったい全体この人に何が起こってしまったのか?という程に埒外な隠し玉がこうして存在していたというこの面白さ。リリースはドイツWERGOの、しかもエレクトロアクースティック電子音楽専用レーベルとして用意された Edition ZKM から99年にリリースされていたアルバムというのも少々驚き。で、内容としてはこれはやっぱり相当に個性的で、上記のような調性音楽の人が電子音楽に挑戦してみたという経緯も作用してか、電子音楽の専門職の人には中々発想の及ばない面白い響きの組み合わせと、アブストラクトな感覚と大衆音楽的な調性感をいともたやすく併存させるなどはこの人の真骨頂。なので、端的に言って、ライブラリーミュージック系にも意外に近いというか、これを現代音楽の側からアプローチしたものなのか?、偶然にそのような結果になってしまったのか?というのも非常に興味深いところではあるにせよ、或いはもしもこれが70年代中盤に存在していたならば、ブライアンイーノのオブスキュアレーベルのリリースラインナップに入っていたかも、なんて妄想も楽しい出来栄え。内容としては出だしから珍妙で、通常の楽器や得体の知れ無いアクースティック音響、バグパイプのようなエレクトーンのような電子音、これがなんとケルティック音楽をブルースのような3コード進行へと異化してクリスマスソングスのように変異していくという1曲目からしてカっ飛ばし、続いてはフィールド音を巧みに用いてハーモニカのようで木管楽器のような響きと電子音によるミクスチャー、次にオーケストラルな手法とアコーデオンを模した音型をエレクトロアクースティックサウンドで固め、後半ではスティールドラムっぽい響きでミュゼットのような古い大衆音楽へと異化していったり、とまあ全体がこんな感じでで次々に展開していく、架空のライブラリーミュージックのような変異型アンビエントミュージックのような恐るべき様相を見せる珍妙の粋。ELENA KATS CHERNIN-unceremonious processions(wergo)
コンディション:★盤は中古盤として並品(軽いキズ、スレがあります。音トビ無し、再生に影響無し)、ジャケットは中古盤として並品(目だたない程度のスレ、キズ、経年のヨレがあります。端にツメの噛み跡あり)、プラケースは中古盤として並品(スレ、キズが散見されます、ヒビ割れがある場合もあります)★プラケースは経済的理由により新品に交換できません。予め消耗品としてお考えいただけますと幸いです★その他詳しいコンディションにつきましてはご入札前にご質問欄からお問合せください。あくまで中古盤という性質上、完璧なコンディションをお求めの場合はご入札をお控えくださいますよう、よろしくお願いいたします★
★送料(ユウメール):CD1枚¥180、CD2枚¥215、CD3枚~4枚¥300★郵便料金改定に伴いまして(CD5枚以上は枚数制限無し)及び(LP盤1枚~2枚)は定形外郵便(規格外)での扱いとなります。送料は¥500★