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B6696 超絶技巧【cisey】チセー 金色の糸、瑠璃色の沈黙 最高級18金無垢セレブレティラリエットネックレス 長さ107cm 重さ69.0g 幅22.0mm
B6696 超絶技巧【cisey】チセー 金色の糸、瑠璃色の沈黙 最高級18金無垢セレブレティラリエットネックレス 長さ107cm 重さ69.0g 幅22.0mm [浏览原始页面]
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以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです〜〜

金色の糸、瑠璃色の沈黙

序章
そのラリエットネックレスは、遺品というにはあまりにも生々しい輝きを放っていた。桐の箱の蓋を開けた瞬間、古都の古い町家特有の、黴と線香の入り混じった空気が、一瞬にして金の光に浄化されたように感じた。
「おばあさまが、天音(あまね)に、と」
母の静かな声が、耳鳴りのように遠くで響く。私の手の中にあるのは、ずしりと重い金の編み物。それは単なる鎖ではなく、一本一本の金の糸が、瑠璃色の絹糸と共に、緻密で複雑な紋様を描き出している。まるで、小さな金の川と、深い藍色の夜の川が、互いを慈しむように寄り添い、一つの流れとなっているかのようだ。全長は1メートル以上あるだろうか。留め具はなく、その重みとしなやかさで、体に纏わせるようにして身に着けるのだろう。ラリエット、という名前を、私はその時初めて知った。
祖母、藤代千鶴(ふじしろちづる)が亡くなって、一月が経とうとしていた。享年九十二。大往生だったと誰もが言ったが、私にとっては、物心ついた時からそこに在り続けた、大きな楠のような存在が、根こそぎ消えてしまった喪失感の方が大きかった。
祖母は、昭和の時代にテキスタイルデザイナーとして名を馳せた人だった。彼女の創り出す布は、伝統的な西陣の技法に、っと息をのむようなモダンな感性を融合させたもので、多くの着物愛好家や、当時の女優たちを虜にしたという。けれど、私が知る祖母は、仕事の話など一切しない、ただ静かに庭の草木を愛で、私におはぎを作ってくれる、優しいしわくちゃのおばあちゃんだった。
このラリエットは、そんな祖母のイメージとは少し、いや、かなりかけ離れていた。あまりにも豪奢で、大胆で、そしてどこか情熱的ですらある。69グラムの18金。添えられた古い保証書には、そう記されていた。ブランド名は【cisey】。聞いたことのない名だった。
「これ、おばあちゃんが着けてるの、見たことないな」
「そうね。お母さんも一度も見たことがないわ。ただ、一番大事なものだからって、ずっとこの桐の箱に入れて、箪笥の奥深くにしまっていたのよ」
一番、大事なもの。
その言葉が、ずしりと金の重み以上に私の心にのしかかった。私は、テキスタイルの修復家として、小さな工房で働いている。布の傷みや、失われた色彩を、元の持ち主の想いごと甦らせる仕事だ。だから、物に宿る記憶というものを、人一倍信じている。この金のラリエットは、一体何を記憶しているのだろう。誰の想いが、この瑠璃色の糸に織り込まれているのだろう。
私は、ラリエットをそっと首にかけた。ひんやりとした金属の感触と、驚くほどの重み。それはまるで、祖母が生きた九十二年という時間の重さそのもののようだった。鏡に映った自分の姿は、ひどく不釣り合いに見えた。けれど、その瞬間、金の網目の中から、微かに、本当に微かに、白檀の香りが立ち上った気がした。祖母が愛用していた、あの懐かしい香り。
それが、私とこのラリエット、そして、祖母の隠された人生を巡る、長い旅の始まりだった。
第一章:邂逅
ラリエットの謎を解く手がかりは、あまりにも少なかった。保証書に記された【cisey】というブランド名と、「チセー」というカタカナ表記。私は仕事の合間を縫って、古い宝飾雑誌を漁り、インターネットで検索を繰り返した。しかし、その名はどこにも見つからなかった。まるで、最初から存在しなかったかのように。
諦めかけた頃、古美術商を営む知人が、一つの可能性を教えてくれた。
「チセー、ですか。聞いたことないですね。でも、その時代の、特に個人でやっていたような工房は、名前が残ってないことも多いですよ。一度、宝飾の職人さんが集まる街、御徒町(おかちまち)の古い問屋街を訪ねてみては? 何か知っているご老人がいるかもしれません」
藁にもすがる思いで、私は週末、東京の御徒町へと向かった。そこは、きらびやかな表通りの宝石店とは対照的に、細い路地に小さな工房や工具店がひしめき合う、独特の熱気を帯びた場所だった。何軒かの店を訪ね、ラリエットの写真を見せてはみたものの、誰もが首を捻るばかり。その超絶的な技巧には誰もが目を見張ったが、作り手に見当がつく者はいなかった。
陽が傾きかけた頃、最後の望みをかけて、ひときわ古びた佇まいの工具店の暖簾をくぐった。店の奥で、黙々とヤスリを動かしていた老店主は、私の差し出した写真を見るなり、ピタリと手を止めた。
「…これは」
老店主は、眼鏡の奥の目を細め、食い入るように写真を見つめている。
「この編み方は…まさか。『蒼(あお)き獅子』の…」
「あおきしし?」
「ああ。昔、この界隈でそう呼ばれていた職人がいたんだ。誰も本名を知らない。ただ、彼の作るものは、まるで生きているかのようにしなやかで、力強かった。特に、金と異素材を編み込む技術は、神業としか言いようがなかった」
老店主の言葉に、心臓が大きく脈打った。
「その方は、今どこに?」
「さあ…。もう四十年以上も前だ。忽然と姿を消しちまった。自分の工房も畳んでね。名前も、確か…ああ、そうだ。『海宝(かいほう)』。海宝工房と名乗っていた」
海宝工房。蒼き獅子。
ようやく掴んだ、細い細い糸。しかし、それはあまりにも古く、脆い糸だった。四十年も前に消えた工房の行方など、見つけられるはずもない。失意と共に店を出ようとした、その時だった。
「あの、すみません」
背後から、若い男の声がした。振り返ると、私と同じくらいの歳の、涼しげな目元をした男性が立っていた。彼は、店の奥から出てきたらしく、その手には専門的な工具が握られていた。
「今、海宝工房の、蒼き獅子の話をされていませんでしたか?」
「ええ、そうですが…」
「そのラリエット、見せてもらっても?」
私は警戒しながらも、彼にスマートフォンの画面を見せた。彼は息を呑み、画面を拡大して、その緻密な編み目に見入っている。その真剣な眼差しは、先ほどの老店主のものとはまた違う、何か個人的な感情を帯びているように見えた。
「やはり、間違いない。祖父の仕事だ」
「え…? おじいさま?」
「はい。僕の祖父が、海宝工房を営んでいた、長谷川海斗(はせがわかいと)です」
男は、相葉颯太(あいばそうた)と名乗った。彼の祖父、長谷川海斗こそが、伝説の職人『蒼き獅子』だというのだ。あまりの偶然に、私は言葉を失った。
颯太は、今はもう廃業した祖父の代わりに、古い顧客のメンテナンスなどを請け負っており、たまたまこの店に工具を買いに来ていたらしかった。
「もし、よろしければ、一度、祖父にこれを見せてはもらえませんか。祖父はもう、ほとんど口を利かないし、仕事からも完全に手を引いていますが…このラリエットを見れば、何かを思い出すかもしれない」
彼の提案は、魅力的であると同時に、少し怖かった。祖母の最も大事なものが、見ず知らずの男性の作品だったとしたら? そして、その職人が今も生きているとしたら? そこには、一体どんな物語が隠されているというのだろう。
迷う私に、颯太は静かに言った。
「僕も、知りたいんです。祖父が、なぜあれほどの才能がありながら、すべてを捨ててしまったのか。このラリエットが、その鍵を握っている気がするんです」
彼の瞳の奥に、私と同じ、過去を求める切実な色を見た。私は、頷いていた。来週の日曜日、彼と共に、海斗氏の住む家を訪れる約束をした。
帰り道、私は無意識に、首にかけたラリエットを握りしめていた。金の網目が、肌に食い込む。それはもはや、単なる美しい装飾品ではなかった。二つの家族の、失われた時間を繋ぐ、重い宿命の鎖のように感じられた。
第二章:瑠璃色の沈黙
長谷川海斗氏の家は、都心から少し離れた、静かな住宅街にあった。古いけれど、手入れの行き届いた日本家屋。颯太に案内されて通された縁側からは、見事な松が植えられた庭が見渡せた。
「じいちゃん、お客さんだよ」
颯太の声に、奥の部屋からゆっくりと姿を現したのは、想像していたよりもずっと小柄な老人だった。けれど、その眼光は、年の割に鋭く、深く、まるで海の底からこちらを見据えているかのようだった。彼が、『蒼き獅子』と呼ばれた職人。
挨拶もそこそこに、私はおそるおそる、桐の箱を彼の前に差し出した。颯太が、静かに蓋を開ける。
陽光を浴びて、金のラリエットが、まばゆい光を放った。
海斗氏の時間が、止まった。皺の刻まれた手が、微かに震えている。彼は、まるで奇跡でも見るかのように、あるいは、恐ろしい亡霊でも見るかのように、ラリエットを凝視していた。やがて、その震える指先が、ゆっくりと、ゆっくりと、金の編み目に触れた。
「……千鶴」
掠れた、ほとんど音にならない声で、彼が呟いた名前。
それは、私の祖母の名前だった。
私の心臓が、氷水で冷やされたように凍りついた。なぜ、この人が、祖母の名を。
海斗氏は、ラリエットを手に取ると、まるで赤子を抱くように、大切に膝の上に乗せた。そして、指先で、金の紋様と、そこに織り込まれた瑠璃色の絹糸を、何度も、何度もなぞり始めた。その目は、もう私たちを見てはいなかった。遠い過去の、誰かに向けられていた。
「この瑠璃色は…彼女が染めた絹だ。信濃の山奥でしか採れない、幻の茜草(あかねそう)を使って、月明かりの下でだけ染められるという、特別な青…。『天上の青』と、彼女は呼んでいた」
海斗氏が、ぽつり、ぽつりと語り始めた。それは、颯太ですら聞いたことのない、祖父の過去だった。
彼と祖母、千鶴が出会ったのは、昭和二十年代の後半。戦後の混乱がまだ色濃く残る、けれど、新しい文化が生まれようとしていた時代。千鶴は、京都の西陣織の老舗の娘でありながら、古いしきたりに飽き足らず、新しいデザインを模索していた。一方、海斗は、金属加工の職人だった父を戦争で亡くし、見様見真似で始めた彫金の世界で、天賦の才を発揮し始めていた若者だった。
二人は、とある工芸展で出会った。互いの作品に、自分と同じ魂の輝きを見出した。千鶴の布が持つ、しなやかさと力強さ。海斗の金属が持つ、硬質さと温かみ。正反対でありながら、根底で深く結びついている何か。二人が恋に落ちるのに、時間はかからなかった。
「私たちは、いつか二人で、世界が驚くようなものを作ろうと約束した。布と金属。絹と金。誰も見たことのない、究極の美を、この手で生み出そうと」
このラリエットは、その約束の結晶だった。デザインは、二人で何百枚もスケッチを描き、試行錯誤を重ねた。千鶴が織る着物の紋様から着想を得た、流れるような、しかし決して途切れることのないパターン。そして、千鶴がこの作品のためだけに染め上げた、特別な瑠璃色の絹糸。海斗は、その絹糸を芯にするように、純度の高い金の糸を、自身の持てる技術のすべてを注ぎ込んで編み上げた。
「制作には、一年かかった。互いのすべてを、この一本のラリエットに注ぎ込んだんだ。これは、私たちの魂そのものだった。そして…結婚の誓いの、証でもあった」
しかし、その幸せは長くは続かなかった。
千鶴の家は、代々続く西陣織の老舗。由緒正しい家柄だった。そこに、家も後ろ盾もない、一介の職人である海斗が婿として入ることなど、許されるはずもなかった。千鶴の父親は激怒し、二人の仲を力ずくで引き裂いた。千鶴は家に軟禁され、海斗は工房にまで押しかけてきた男たちに脅された。
「千鶴を諦めろ、と。さもなくば、お前の職人としての未来も、命も、どうなるかわからない、と。…私は、若かった。そして、無力だった」
それでも、二人は諦めなかった。駆け落ちさえも考えた。しかし、そんな時、千鶴の父親の会社が、深刻な経営難に陥っていることが発覚する。会社を救う道は一つ。取引先の、有力な実業家の息子との、政略結婚。
「彼女は、選ばなければならなかった。私との愛か、家族と、先祖代々受け継いできた織元の未来か…」
ある雪の降る夜、千鶴は、海斗の工房を密かに訪れた。完成したばかりのラリエットを手に。
「彼女は、泣かなかった。ただ、静かに、私の首にこれをかけた。『海斗さん、これをあなたに。私の魂は、永遠に、この中にいる』と。そして、『私を待たないで。あなたには、あなたの才能を咲かせる未来がある。私のために、それを無駄にしないで』と言った」
それが、二人が交わした、最後の言葉だった。
千鶴は、そのラリエットを海斗に託して去った。自分は、家のための人柱になる、と。しかし、海斗はそれを受け取れなかった。
「次の日、私はこれを、彼女の家の門の前に、そっと置いてきた。君の魂なら、君が持っているべきだ、という手紙を添えてな。…それ以来だ。私が、物を作るのをやめたのは。魂を込めるべき相手を失った私には、もう、何も生み出すことはできなかった」
海斗の顔を、涙が伝っていた。七十年近い歳月を経て、初めて流す涙なのかもしれない。隣で聞いていた颯太も、固く唇を噛みしめ、静かに泣いていた。
祖母の、私が全く知らなかった、壮絶な恋。家のための自己犠牲。ラリエットに込められた、悲しい誓い。
祖母は、生涯、このラリエットを身に着けることはなかった。それはきっと、彼女にとって、封印された恋の記憶そのものであり、触れることさえも辛い、痛みそのものだったからだろう。そして、海斗への「私のことは忘れて、前へ進んでほしい」という最後の願いの象徴でもあったのかもしれない。
海斗氏は、ラリエットを桐の箱に戻し、私の方へ押しやった。
「持っていきなさい。それは、君のおばあさんのものだ。そして、君が、持っているべきものだ」
その声は、震えていたが、どこか安堵したような響きがあった。長い間、心の奥底に閉じ込めてきた重い扉が、少しだけ開かれたのかもしれない。
帰り道、颯太と私は、言葉少なに歩いていた。あまりにも重い真実を、どう受け止めていいのか、二人ともわからなかった。
「祖父が、あんなに話すのを、初めて見ました」
ぽつりと、颯太が言った。
「僕はずっと、祖父を誤解していたのかもしれない。ただ頑固で、気難しいだけの人だって。でも、違ったんですね」
「…私のおばあちゃんも、同じよ。いつも穏やかで、静かで。あんな情熱的な恋をしていたなんて、想像もできなかった」
私たちは、互いの祖父母の、ほんの一片しか知らなかったのだ。人は、見せている顔の奥に、どれだけの物語を隠して生きているのだろう。
駅のホームで、電車を待ちながら、颯太が私に向き直った。
「藤代さん。…いや、天音さん。今日は、ありがとう。君がこれを持ってきてくれなかったら、僕は一生、祖父の心を知ることはなかった」
「私もよ、相葉さん。…颯太さん。私も、祖母の本当の姿を知ることができた。連れてきてくれて、ありがとう」
私たちは、どちらからともなく、微かに微笑み合った。悲しい物語だった。けれど、その物語を知ったことで、私たちは、確かに繋がった。金色の糸と瑠璃色の糸が、七十年の時を経て、私たちを巡り会わせたかのように。
第三章:未来へ紡ぐ糸
あの日以来、私と颯太は、自然と会うようになった。最初は、互いの祖父母について、私たちが知っていることを語り合うためだった。私は祖母のアルバムを、颯太は祖父の古いスケッチブックを持ち寄った。
アルバムの中の若い祖母は、凛とした美しさの中に、どこか憂いを秘めていた。政略結婚で結ばれた祖父との写真では、決して心からの笑顔を見せてはいない。けれど、私が生まれてからの写真では、本当に優しい、穏やかな表情をしていた。祖母は、自分の運命を受け入れ、その中で、家族への愛という、別の幸せを見つけて生きてきたのだ。
一方、海斗氏のスケッチブックは、驚きに満ちていた。そこには、千鶴をモデルにしたであろう、たくさんのデッサンが残されていた。そして、ラリエット以外にも、二人で考案したであろう、布と金属を融合させたジュエリーのデザインが、何十枚も描かれていた。それは、現代の目で見ても、斬新で、息をのむほど美しいデザインだった。
「祖父は、千鶴さんと別れてから、本当に何も作らなくなったんだ。これだけのアイデアがありながら…」
颯太は、悔しそうに呟いた。
私たちは、二人の失われた時間を、まるで自分たちのことのように悼んだ。もし、二人が結ばれていたら。ここに描かれた素晴らしい作品たちが、世に生まれていたのかもしれない。
そんな日々を過ごすうち、私たちの関係も、少しずつ変わっていった。互いの仕事の話をするようになった。私は、修復家としての喜びや悩みを、颯太は、祖父の技術を受け継ぐことへのプレッシャーや葛藤を語った。彼は、祖父の工房を継ぐかどうか、ずっと迷っていたのだ。
「僕には、じいちゃんほどの才能はない。あの『蒼き獅子』の名前を汚すのが怖いんだ」
「そんなことないわ。あなたは、ちゃんと物を見る目を持っている。だって、このラリエットの価値を、一目で見抜いたじゃない」
私の言葉に、颯太は少しだけ、驚いたような顔をした。
ある日、私は思い切って、一つの提案をした。
「このラリエットを、身に着けても、いいかな」
ラリエットは、祖母の悲しい記憶の象徴だ。それを私が身に着けることは、祖母の想いを踏みにじることになるのではないかと、ずっと躊躇していた。
颯太は、優しく微笑んだ。
「もちろん。それはもう、君のものなんだから。きっと、千鶴さんも、喜んでくれるよ」
その週末、私たちは、小さな美術館に出かけた。私は初めて、あのラリエットを首にかけた。それは、ただ重いだけの鎖ではなかった。祖母と海斗氏の、叶わなかった夢の重さ。そして、それを乗り越えて生きた、祖母の強さ。すべてを感じながら、私は胸を張って歩いた。
不思議なことに、ラリエットは、現代的な私の服装にも、すんなりと馴染んだ。通り過ぎる人々が、そのユニークな輝きに、振り返るのがわかった。それは、悲劇の遺品ではなく、力強く、美しいアートピースとして、今、ここに在るのだ。
美術館のカフェで、颯太が言った。
「綺麗だね。すごく、似合ってる。まるで、天音さんのために作られたみたいだ」
彼のまっすぐな言葉に、頬が熱くなるのを感じた。
その帰り道、颯太が、意を決したように口を開いた。
「僕、決めたよ。祖父の工房を、継ごうと思う」
「ほんと!?」
「うん。でも、『海宝工房』の名前じゃない。僕自身の名前で、新しい工房を始める。祖父の技術と、千鶴さんの感性、二人の想いを受け継いで、でも、僕自身の作品を作っていきたいんだ」
彼の目は、迷いを振り切った、強い光を宿していた。
「そして…」
颯太は立ち止まり、私の手を、そっと取った。
「いつか、君に、僕が作ったジュエリーを贈りたい。…君のために、世界で一つのものを」
それは、紛れもない、告白だった。私の心臓が、喜びと、少しの戸惑いで、大きく跳ねた。祖母たちの悲しい物語から始まった私たちの関係が、こんな未来に繋がるなんて。
私は、ゆっくりと頷いた。
「待ってる。楽しみに、待ってる」
金の糸と瑠璃色の糸が、時を超え、二つの魂を繋いだように。
今、私たちもまた、新しい糸を、未来に向かって、紡ぎ始めようとしていた。
終章:令和のハッピーエンド
それから、二年が経った。
颯太は、約束通り、自身の名を冠したジュエリー工房『AIBA』を立ち上げた。古い工房をリノベーションした、光が溢れるモダンな空間。そこで彼は、祖父から受け継いだ技術と、彼自身の瑞々しい感性を融合させた、素晴らしい作品を生み出し始めた。彼の作品は、瞬く間に評判を呼び、多くのファンを獲得していった。
私も、テキスタイル修復家としての仕事に、新たな情熱を見出していた。祖母の物語を知ってから、ただ元通りに直すだけでなく、その布が持つ記憶や物語を、次の世代にどう伝えていくか、という視点を持つようになったのだ。
そして、長谷川海斗氏は、あの日以来、少しずつ変わっていった。完全に口を閉ざしていた昔が嘘のように、孫である颯太に、自身の技術のすべてを教え始めたのだ。言葉は少ないながらも、その手つき、眼差しは、愛情に満ちていた。時折、工房に顔を出す私にも、穏やかな笑顔を見せてくれるようになった。彼は、孫が、自分の果たせなかった夢を、新しい形で叶えようとしているのを、心から喜んでいるようだった。
ある晴れた秋の日、颯太が、私の工房を訪ねてきた。その手には、少し緊張した面持ちで、小さなベルベットの箱を握っていた。
「天音。…受け取ってほしい」
箱を開けると、中には、息をのむほど美しい指輪が収められていた。
それは、プラチナの細いアームが、まるで柔らかな糸のように編み込まれたデザイン。そして、その中央には、澄み切った空の色をした、小さなサファイアが留められていた。
「金の糸と、瑠璃色の糸。じいちゃんと千鶴さんの物語が、僕たちを出会わせてくれた。だから、僕たちの始まりは、プラチナの糸と、空色の石で」
それは、過去を乗り越え、未来へと向かう、私たちのための物語だった。
私は、涙で滲む目で、彼を見つめた。
「…はい」
その一言を言うのが、精一杯だった。颯太は、優しく指輪を私の左手の薬指にはめてくれた。それは、私の指に、ぴったりと収まった。
私たちの結婚式は、ささやかだけれど、温かいものになった。車椅子に乗った海斗氏が、本当に嬉しそうに、私たちのことを見ていたのが印象的だった。
披露宴の席で、私は、祖母の形見のラリエットを身に着けた。
それはもう、悲しい恋の記憶の象徴ではなかった。
それは、どんな困難な時代にあっても、愛を貫こうとした二人の強い魂の証であり、その想いが、七十年の時を超えて、私たちという新しい幸せに結実したことの、祝福の証だった。
金の糸は、海斗氏の変わらぬ愛。
瑠璃色の糸は、千鶴の静かな強さ。
その二つが織りなす紋様は、決して解けることのない、永遠の絆。
私は、隣に座る颯太の手に、そっと自分の手を重ねた。彼の指には、私とお揃いの、プラチナの指輪が光っている。
私たちは、祖父母の物語を胸に抱きながら、でも、私たち自身の物語を生きていく。喜びも、悲しみも、すべてを分かち合いながら、二人で、新しい紋様を織り上げていくのだ。
窓の外には、令和の時代の、穏やかで明るい光が満ちていた。
首にかけたラリエットが、その光を浴びて、キラリと輝いた。まるで、天国にいる祖母が、「おめでとう」と、微笑んでくれているようだった。
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