
マイクル・コナリーの「判決破棄 リンカーン弁護士(The Reversal)」 上下2巻です。古沢嘉通訳、講談社文庫。状態は、全般にかなり良好です。送料はクリックポストで185円です。(※厚さ2cm以下の文庫本は、合計1㎏を超えない範囲で計4冊程度まで同梱可能です。)
★内容: 24年前の少女殺害事件に対して出された有罪判決破棄および差し戻し。DNA鑑定で被害者のワンピースについていた精液が服役囚とは別人のものだとわかったのだ。刑事弁護士ミッキー・ハラーは、ロサンジェルス郡地区検事長の要請で特別検察官として勝算皆無の再審を引き受ける。息詰まる法廷劇が始まった。無罪を訴えるその男が犯人であることを確信して、ボッシュ刑事は調査員としてハラーのチームに加わり、新たな証人を見つけ出す。少女が連れ去られる瞬間を目撃していた姉の劇的な証言。保釈後、夜な夜なひとりで公園にたたずむ服役囚。冤罪か有罪か。殺害は偶発か計画的犯行か。思いがけない顛末が待つ!
★コナリーといえば『ハリー・ボッシュ・シリーズ』であり、リンカーン弁護士ものはあくまで外伝と思っていたら、本作で3作目となり、すでに立派な『ミッキー・ハラー・シリーズ』に成長したといえる。ただ、ボッシュも今回はハラーの調査員として重要な仕事をしている。シリーズを読み進めている読者ならば先刻ご承知であろうが、ハリー・ボッシュ・シリーズでは、主人公ボッシュ以外の登場人物 ――捜査官レイチェル・ウォリング、元捜査官テリー・マッケイレブ、記者ジャック・マカヴォイ、アウトサイダーのキャシー・ブラック、弁護士ミッキー・ハラーなどがいわゆる「スピン・オフ」し、ハリー・ボッシュ・シリーズ以外の独自作品群の主人公となって、コナリーの世界を拡大・深化させている。これらの関連シリーズを合わせると、2023年夏時点で38作(内、邦訳37作)となっている。コナリー・ファンをやめられない理由がここにもある。
★ところで、本家シリーズの主人公ハリー・ボッシュをあらためて紹介しておくと、本名がヒエロニムス・ボッシュ(Hieronymus Bosch、ルネサンス期フランドルの著名な画家と同姓同名)。暗く複雑な生い立ちと、ベトナム戦争で極限状態を生き抜いた経験が性格に陰を落とす。組織に馴染まず上司や同僚と衝突することもしばしばだが、一人事件の真相へ向けて突っ走る男の中の男。シリーズ初期では、犯罪事件のストーリーと並行して主人公のトラウマや人間性も次第に浮彫りになっていく。マンネリと無縁の物語が次々に展開し、読者はボッシュとともに現代を疾走する気分や錯覚に酔う。。だが、逆境と戦うボッシュにもLA市街を見下ろす小粋な自宅に帰宅し、好きなCDを聞きながらデッキでビールを飲み、遠くで暮らす“家族”を想うひと時が訪れる。読者もその場所と時間に居合わせて、ほろ苦くも甘美な癒しを味わうのである。
★著者、マイクル・コナリー(Michael Connelly)は、1956年生まれ、フィラデルフィア出身。1980年、フロリダ大学でジャ-ナリズムを専攻したが、そのきっかけは在学中にレイモンド・チャンドラーの小説に出会い作家となる決意をしたためという。卒業後、フロリダで新聞記者となり、当時「コカイン戦争」の只中にあった南フロリダ地区の犯罪や警察について記事を書き続け、1986年には手がけた記事がピューリツァー賞候補に推されることに。これによりジャーナリストとしての地位を高め、ロサンゼルス・タイムス社の犯罪担当記者となり、チャンドラーが描いた街LAに赴くこととなった。LAで3年間の記者経験の後、ロサンゼルス市警察(LAPD)の刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。 1992年、シリーズ第1作となる“The Black Echo”(邦題『ナイトホークス』)を発表。実際に起きた事件を題材として描いた本作は、初版僅か15,000部、また全米広告の露出がなかったにも拘らず各書評で非常に高い評価を得、アメリカ探偵作家クラブ(Mystery Writers of America、MWA)のエドガー賞(The Edgar Award)処女長編賞を獲得した。その後同シリーズは怒涛のヒットを続け、現在までに35ケ国で翻訳されている。2003-04年にはMWAの会長も務めた。
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