壊れた心をどう治すか―コフート心理学入門〈2〉 (PHP新書) [新書]
和田 秀樹
商品説明
米国の精神分析の世界で人気を集めているというコフート心理学。
本書は、日本におけるコフート心理学研究の第一人者である著者が、
『<自己愛>と<依存>の精神分析』に続くコフート入門書の第2弾として著した1冊である。
コフートの人物像や理論、その背景にある人間観などに焦点を当てた前作に対して、
今回はコフートが米国の精神分析学や医学の歴史的文脈のなかでどのような位置づけにあるのかに着目し、
現代におけるその理論の有効性を探り出している。
書き起こしは精神分析の祖・フロイトからで、
それに続くアンナ・フロイト、メラニー・クライン、カーンバーグ、マーガレット・マーラーらによる
精神分析理論のモデル・チェンジの過程を順にたどっている。
著者はそこで「ボーダーライン」「自己愛」「パーソナリティ障害」「自己」といった概念がどうとらえられているかを読み解くほか、
治療のアプローチや患者層の違いなどにも目を向ける。
なかでもコフートについては、「自己の構造」がバラバラな状態、
つまり「中核自己」が父母との対象関係においてしっかりと形成できなかった状態を精神の病理ととらえたこと、
依存関係や共感を通じてその患者の「心の健康」を目指したことなどを読み解く。このコフート理論こそ、
自己形成を行う家族環境が変わった現代人に、また「甘え」の文化をもち、
心の中を解剖するような従来の精神分析を好まない日本人に合っているのではないか、と説く。
だれにでも起こりうる心の問題を想定した著者の精神分析論はじつにわかりやすい。
現代日本の心をめぐる課題も見えてくる。(棚上 勉)
内容紹介
本書は、フロイト以降、アメリカの精神分析の変遷をたどり、
心の治療がいかになされてきたかを解説。そして今日、
なぜコフートの精神分析が有効なのか。対人関係における共感と依存の重要性を唱えている。
心の病とは「自己がバラバラになった状態」だとコフートは言う。
過去とのつながり感覚や他者との関係を喪失することで、
激しい不安、怒り、妄想に悩む人々がいる。それらは精神病や神経症と診断されてきた。
では、精神病と神経症の違いとは何か。
精神病とは伝達物資の異常などで脳のいずれかが壊れた状態をいい、
妄想や幻覚をともなう。一方、神経症は、脳ではなく心に異常をきたし、
不安やパニック状態になることをいう。しかし両者の選別は難しい。
そこで、精神病と神経症の間にはさまざまなパーソナリティ障害があり、
それがボーダーラインや自己愛パーソナリティ障害として発見されてきたのである。
数々のエピソードを交え、やさしく解説した心理学教室。
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