谷口愛子 著
新美容出版
1996年3刷
231ページ
約31x22x2.5cm
定価 9,785円
アップスタイルのデザインの幅を広げたい‥そう思ってはいても、どこから手をつけたらいいか‥。まずこの本を開いてください。基本を見直し、デザインの美しさに触発され、テクニックをしっかり身に付ける。すべてがここにあります。
400点以上のデッサンから厳選した63点のアップスタイルとその作り方、技法を連続写真でわかりやすく解説。
サロンでいつもお客様に施術しているもののうち、技術よりも著者の感覚が優先されるスタイルは極力減らし、基本的な形から始められる技術の数々を惜しみなく公開した、大変貴重な資料本です。
土台の位置別に分類、土台からデザインを広げる
豊富なデザインとそのテクニックを紹介していますが、土台の位置〔トップ、クラウン、バック、ネック〕で分類してあるのが特徴。ひとつの土台を起点に、和洋に、カジュアルに、エレガンスも。デザインが多様に展開します。
使いこなしの幅が広い新日本髪
成人式を始め、日本人の晴れの日の格別のヘアスタイルとして、代表的な新日本髪。伝統的な型と舞妓風の2種をじっくりとテクニックを紹介しています。これをマスターすれば万全です。
エレガントからキュートまで、ブライダル
つい、定番の無難なスタイルを選びがちなブライダルですが、実は消費者の要望は、どんどん多様化、個性化が進んでいます。さまざまなタイプのブライダルをご用意しました。
【目次】
まえがき
基礎技術要素
技術のための基本形〔六角形〕
土台別デザイン索引
土台なし〔カジュアル〕
土台なし〔エレガント〕
トップの土台
クラウンの土台
コラム1〔難条件ヘア〕
バックの土台
ネックの土台
コラム2〔シニヨン〕
新日本髪
ブライダルヘア
作品集〔華〕
谷口愛子・問わず語り
あとがき・プロフィル・クレジット
アップの美しさは舞扇
私はいつもアップスタイルの美しさを舞扇に例えます。要を軸に限りなく円に向かって広がる美しさ……それが本質です。アップスタイルの美しい毛流れ、美しい髪の広がりとは、まさに一点から円を描いて広がる美しさに他なりません。ここには静から動への躍動感を秘めつつ整然とした統一感があります。それが自分にも、人の目にも心地よく美しい。
私にとっての統一感とは、曲線、丸さといったシンプルなフォルムの要素です。そのシンプルな形の中に様々なドラマを作り出すのが、アップのデザインだと思います。華やかさを求めることもあれば、逆にそれを隠す場合もあります。あるいは丸さというシンプルな形を意識的に崩す。デフォルメすることによって、別の躍動感を引き出すこともあります。モダンであったり、ときに個性的であったりします。
個々のお客様の生活観や状況、好みを配慮し、顔立ちに似合わせるとは、そのドラマの種類を選び取ることだと思います。アップの技術はそのための技術です。しかし技術の基本はごく限られたもの。限られた技術の積み重ねと洗練が、無数のデザインを生み出します。それは楽しい世界です。
見て美しい。やって楽しい。そして喜ばれる世界です。できなければ初めは型にとらわれる必要はありません。まず髪をさわり、何よりも、髪を楽しむ気持ちが始まりです。たくさんのスタイルを見て、自分が美しいと思うイメージを頭の中に創り上げてドさい。楽しさが芽生えたら後はもう、上達するばかりです。
この本に掲載したスタイルは、400点以上のデッサンから選別したものですが、サロンでいつもお客様にしてさしあげるものがほとんどです。技術よりも私の感覚が優先されるスタイルは極力減らしました。基本的な形を感覚的に発展させ、自分自身の作風に仕立て上げるのは、この本を読んで下さる読者一人ひとりの可能性です。
個々のお客様をさりげなく美しくする……そんな美容の原点を見つめながら、制作した作品群です。必ず皆様のお役に立つつことを信じています。
【土台別デザイン索引】より
より少ない基本からより多くのデザイン。それがサロンの実戦的な技術です。ここに集めた作品は基本的に同じ土台、類似の土台から次々に発展させたものです。技術的にも同じことが繰り返されます、従って元になる一つのデザインをマスターすると、苦もなく二つ、三つのスタイルができるようになります。技術の上達がそのまま定番を増やすことになり、お客様に似合わせることが容易になります。なおここでの土台は、①ベースになるブロックの位置②上台の髪(三つ編み)が収まる場所の2点を考慮して分けたものです。標準的な頭を想定したものなので、実際サロンで行う場合には個々の差異で同じ所に来ないこともあります。あくまで標準の目安と考えます。大事なのは、回りに必要な髪を取った残りが土台になる、ということ。決してその逆ではありません。
●土台なし(カジュアル)
スキ毛、逆毛を使用せずしばる、結ぶなどの基礎技術
だけでできるへア。毛先の処理自体がデザイン。
●土台なし(エレガント)
逆毛でふくらみを作り、裏面を崩す感党的な仕上げ、
毛先の遊びや質感作りもデザインの大事な要素。
●トップの土台
サロンの人事な定番、ポンパドールと、若い人向きの
個性的なデザイン。軽さや枠な感じが共通テイスト。
●クラウンの土台
多くは落ち着いた和服のためのスタイル。クラウンに
きれいなふくらみを作る面のデザインがポイント。
●コラム「難条件ヘア」
「短い・少ない・多い」条件をクリアする
典型的なデザイン例。
●バックの土台
洗練させたい定番の夜会巻きと、立体的なフォルムが
特徴のスタイル。 面と形でデザインする華やかさ。
●ネックの土台
ネックにデザインのポイントが来る重さのあるスタイル。
大人の色香やエレガントな雰囲気が特徴。
●コラム「シニヨン」
シニヨンのあるシンプルなスタイルと、
いろいろなシニヨンの形。