1998年から2001年の間に製造販売されたSpyderco社のMilitary 型名C36G、大型の折りたたみナイフのほぼ美品です。特殊鋼のメーカーである米国Crusible社とSpyderco社との協力のもとCrusible社の粉末冶金鋼CPM 440V(= CPM S60V)が採用されており、粉末冶金鋼で作られた世界で最初の量産ナイフとされています。
実測寸法は下記になります。
刃長:約10cm
刃厚:約4mm(刃の付け根部分)
ハンドル長:約14cm(折り畳み時も同じ)
重さ:約110.5g
Militaryは、Spyderco社のほぼ最初の大型ナイフとして1996年に発売開始されました。当初、鋼材は本出品のCPM 440VとATS-34(154CMの日本版)、の2種類が用意されていました。これは、粉末冶金鋼は欠けやすい、と言う風評を考慮したもののようで、そのような風評がなくなってからはATS-34版は廃されたようです。またCPM 440Vはのちに名称がCPM S60Vに変更されています。
1996年〜1997年のバージョンは、クリップが2点留めでしたが、1998年以降本出品のナイフのように3点留めに変更されました。また2001年の途中以降の製造品では、製造地の刻印は刃本体ではなく、現在のSpydercoのナイフ同様リカッソ部分に刻印されるようになります。
CPM 440Vは、従来の溶融の冶金法で作られていた440Cの改良品として、成分としては炭素を増やしバナジウムを加え、粉末焼結によって作られた鋼材で、440Cと比べて耐摩耗性に優れた鋼材として作られました。新しい技術で作られた鋼材でナイフを製造するに際しては色々試行錯誤があったようで、2004年以降、Militaryの鋼材はより新しくより扱いやすいCPM S30Vに置き換えられています。
CPM 440VのMilitaryについては、Spyderco社の創業者であるSal Glesser氏のweb上のコメントが残っています。
・Militaryでは世界で初めて粉末冶金鋼を量産ナイフに採用した
・ヘビーデューティさと軽さとを両立させた
・4mm厚の刃はSpydercoのナイフで最も厚く、スパイン(刃の背)から刃先までフラットなグラインドのこのナイフは、鋼材が440Vでなかったとしてもとても強力なナイフである
などなど。
Spyderco社は、その鋼材選定のアグレッシブさに加え、独自の波刃であるSpyderedgeでも定評があり、Militaryにおいても当初から直刃と全波刃とがラインアップされていました。440V鋼でかつ全波刃の本ナイフは、Spydercoの特徴を完備したcollectibleなold spydercoとしても位置付けられているようです。
ハンドルのスケールは、ブラックのG10です。クリップは1箇所のみ、右利きtip downにしかつけることはできません。のちのParamilitaryなどとは異なり、軽量化のためと思われますがスチールライナーは片側のみです。
刃のロック機構は通常のライナーロックで、現在のSpydercoに多いコンプレッションロックではありません。Spyderholeを使ってオープンするのが標準的な使い方と思いますが、刃が長く重量もあるので、手首のフリックでもオープンできます。5枚目の写真のように折り畳み時の刃のセンタリングも問題ないと思います。
私の購入時から元箱などは失われていましたので、出品はナイフ本体のみとなります。
全波刃のナイフを持っていなかったのでぜひ使ってみたいと考えて購入したのですが、分不相応だったようです。結局飾ってしまい、実用の波刃ナイフとしてはNative 5 Saltを買ってしまいました。それでもMilitaryでは紙以外に一回フランスパンを切ってみました。素晴らしい切れ味ですし、何より楽しくワクワクします。私はそこまでの器量を持ち合わせていませんでしたが、キャンプ地でパン切ったり肉切ったり、あるいは魚の鱗を落としたり、などとすると、かっこいいし楽しいし、大変よろしいかと思います。ステンレス性も十分なはずですので、あまり気を使わずに使い倒せる、と言うのがこのナイフの本来のあり方かと思っています。
写真をよくご覧いただき、ぜひどしどしご入札ください。
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上の説明文中で、CPM 440Vの鋼材メーカーをCrusible社と書きましたが、typoです。正しくはCrucible社でした。失礼しました。