世界探偵小説全集
全45巻揃 国書刊行会
四六変型・上製ジャケット装
1920~40年代、英米の本格探偵小説は、クイーン、カー、クリスティーら輝かしい才能の登場とともに黄金時代を迎えた。不可能犯罪、アリバイ破り、名探偵の活躍。魅力的な謎、巧みなミスディレクションと論理のアクロバット。パズラーの頂点をきわめた本格派の傑作をはじめ、不当にも紹介の遅れていた巨匠の代表作、幻の名作を多数収録、永遠のクラシックを厳選して贈る夢の探偵小説コレクション!!
【第1期】 (1994.11~1996.6) 全10巻
カーター・ディクスン、バークリー、クリスピン、ロースン、ライスなど、クラシックミステリの愛好家にはお馴染みの名前を並べています。『薔薇荘にて』 『第二の銃声』 『一角獣殺人事件』 『Xに対する逮捕状』 には (とうに絶版になっていましたが) 先行訳もあります。まずは既に親しみのある名前を並べて、確実にこのジャンルのファンの心をつかみたい、という気持ちがその根底にはありました。
【第2期】 (1996.9~1999.11) 全15巻
巻数も増え、また第1期の成功を受けて、マケイブ、ペニー、クレイスン、ロジャーズ、スミスなど、本邦初紹介のマイナー作家に力を入れています。A・ギルバート、C・デイリー・キング、ロラックあたりも、この時点ではほとんど忘れられた作家となっていたはずです。探偵小説黄金時代には、クリスティーやクイーン、カーといった巨匠たちのほかにも、多くのバイプレイヤーたちがいて、それぞれの持ち味で探偵小説の世界を豊かなものにしていました。
【第3期】 (1999.12~2002.7) 全10巻
クラシックミステリーをめぐる状況の変化もあって、バークリー、クリスピン、ケネディ、ノックス、ミッチェル、ヘアー、ウエイドという英国作家中心のセレクションになりました。ミッチェル 『ソルトマーシュの殺人』 のオフビートな笑い、ケネディ 『救いの死』 の辛辣な探偵小説読者批判、ウエイド 『警察官よ汝を守れ』 の堅実さ、どれも英国ミステリの重要な魅力のひとつです。
【第4期】 (2002.9~2007.11) 全10巻
第4期10巻も基本的に3期の方針を引き継いでいますが、あえていえばマーシュ、アリンガム、マクロイと女性作家を並べたところに特色があるかもしれません。初紹介作家はノーマン・ベロウとマックス・アフォード。イネスの超大作 『ストップ・プレス』 は、おそらく 〈全集〉 の枠組でなければ今後紹介の機会はないだろう、ということで思い切って。イネスやグラディス・ミッチェルの、いままで紹介の遅れていたファルス・ミステリに力を入れたことも本全集の特色のひとつでした。