【製品について】
Philips社の
5インチ
(13cm)アルニコ・フルレンジ
9766 M が、比較的小型の密閉箱にインストールされたスピーカー・システム。
1950年代中頃の製品になります。
ペアでの出品です。 搭載の9766 M は、『John’s Radio Web』によると、9766から発展したもので、当時のFM放送の急速な広がりを受け、ダブル・コーンの採用によって高域の改善(~15kHz)を図ったユニットです。1950年代中頃から後半にかけて、Philipsの高級なRadiogramなどに数多く採用されていたようです。 エンクロージャーは、精度からしてメーカー製のものと思われますが、私の知る限り、当時のPhilips社はこうしたスピーカー・システムはほとんど手掛けておりませんので、いずれかのガレージ・メーカーにより製品化されたものと思われます。外観はごく平凡な作りですが、内部は丁寧な作りで、フェルト・タイプの吸音材が5面に貼り込まれており、前面バッフルの内側にはクロスが貼られています。
音質的には、極めて
上質でオーソドックス。小型システムとしては、かなり本格的なサウンドに仕上げられています。また、当時の
Philips社がドイツ
Klangfilmの影響を強く受けていたためか、
1960年代後半以降のフィリップス・サウンドの軽やかな明るさは少し影をひそめ、むしろ抑制的なトーンに感じられます。
機器の存在をあまり意識せず、夜間など、シックでゆったりとした音楽に静かに浸るには、とても適したシステムだと思います。小型フルレンジらしく、声楽はいうまでもなく、コンチェルトや室内楽など、なかなか魅力的な音楽を聴かせてくれます。
全体のおよその大きさは、横幅22cm、高さ32cm、奥行き13.5cmになります。
【商品の状態について】
<キャビネットについて>
○ 半世紀以上の歴史をもった品物です。経年の感覚は拭えません。ただ、前オーナーさんの方で再塗装(黒色マット塗装)されたそうで、外観は比較的綺麗な状態です。なお、底面だけは再塗装されておりませんでしたので、比較的厚手のフェルト・シートを当方で全面に張り付けてあります。(他の機器の上に置いて使用しておりましたので。)
〇 スピーカー・ターミナルについては、前オーナーさんにより取り付けられておりました(おそらく元々は直出し?)が、小型で使い勝手が悪かったため、バナナ・プラグも使える新しいタイプのターミナルを当方で取り付けました。
<ユニット等について>
〇 メンテナンス時に取り外した際のユニットの画像を掲載しておきました。画像からもわかりますように、特にこれといった傷みのない良品です。また、エッジにも、フィックスド・エッジ特有のキレット見られないようです。
○ DCRも比較的揃っており(公称インピーダンス5 Ω。4Ω、8Ωいずれも可ということでしょうが、当方では4Ωとして扱っておりました。)、音圧差も通常の使用で問題のない範囲に収まっています。
【その他】
ジャンク品としての出品ではありませんので、輸送中の何らかのトラブルで、製品としての機能に問題があったり、状態が説明と著しく異なったりした場合、2週間以内に、その旨ご連絡いただければ、返品は受け付けます。
なお、同時に、趣味の音響製品を何点か出品しておりますので、よろしかったら、そちらもご覧ください。