
■title通りの和綴じ本です。
■『印度旅日記(全)』泉芳璟著。
昭和3年初版和綴じ本。發藻堂書院發兌。
■横尾忠則・藤原新也等、数多の印度旅行記に先行する昭和初期の印度旅行譚です。今や印度は阿呆の私を含めて猫も杓子も赴く處ですが、該書には観光地化されて居ない頃の「素」の印度が満載。密に詰まって居ます。本文に写真の抱き合わせ等は一切有りませんが、著者の繊細な筆力・描写力にimaginationを透過させれば、逐次実体が眼に見えて来るから不思議です。印度に行かれた方には記憶の恰好の補強材料。如何でしょうか?。
●和綴じ本ですが綴じ糸は確りして居ます。
●古書業者がvinyl coverを施して居ます。
●紙質経年劣化で本文頁の縁に尠し滲みが有ります。古書に不慣れな方、殊更神経過敏な方には回避為さるのが賢明かと思われます。
●全百四頁。書き込み有りません。
●取引に際しては私の自己紹介欄をお読み下さい。
私の現地episodeを一つ。↓↓↓
■沐浴の聖地Benares(Varanasi)から夜行列車でCalcutta(Kolkata)に向かう途次、乗車したのは一応冷房完備の一等車でしたが、Toiletは暖房且つ窓開放の二等車にしか無く、利用するには、真暗闇に白眼許りがギョロギョロする黒色系印度人種が、床に多数雑魚寝している僅かな間隙を、逐一日本語で
「御免為すって、御免為すって」
等と、木枯らし紋次郎張りに挨拶し、通り道を譲って貰うしか方途が無かったのですが、尾籠な話、前日に喰った汁Curryが祟ってか、私の腹はゴロゴロ。便意が我慢出来ず、夜中に二等車のToiletに急行したのです。併し、いざToiletのDoorを開けたら、此の世の物とは思えない汚さ。印度人が排泄した糞尿の、有りと汎ゆる鼻腔を突く香辛料の臭いが個室内に充満揮発する中、黄色い汚物でBetyoBetyoに成ったお丸を囲んで2個の下駄状の踏み台、蛇口に60㎝長の青色ホース、其れにポリ容器の白バケツが有りまして、「日本人殿、どうぞ遠慮無く御使用下さい!」と言わん許りの諧謔性。私笑いましたね。勿論使用する場合は、汲んだバケツの水を左手で掬い、排泄した後の肛門を洗浄処置する訳で、【Shower Toilet】の原初形態ですね。なので印度庶民と握手する際は勢い右手になる訳です。私は気にしませんが…。(笑)
扨、私は一瞥して便意も減退消滅。「是じゃ犬猫も躊躇うでしょ?」って感じでした。おまけに私は白い綿パンを穿いてましたから…。(笑) 印度庶民の便所は見る丈で止瀉薬。でも懐かしいです。汚くて大変失礼致しました。
(2019年 6月 5日 21時 13分 追加)
■因みに、私の雑巾の様な濃灰色のCurtainで仕切られた丈のCompartmentの車窓には。弾痕で2箇所風穴が開いてましたので吃驚!。誰か狙撃されたのかなぁ~との憶測を逞しくしましたね。
朝方、低い角度で射し込んだOrange色の陽光に目が覚めると、腹痛は治まったものの、左手に巻いていた筈の安物のSEIKOの時計が無いと判り、慌てて周辺を捜したら、何と何と、二等車の4歳位の印度人の而も裸足の子供が、ちゃっかり右腕に巻き付けて居たのです。私幾許かのバクシーシ(喜捨)を掴ませ取り返しはしましたが…。油断小敵でした。(笑)
(2025年 6月 7日 8時 04分 追加)
■私のEpisodeは1983年の夏時点のものです。今は列車のToiletは大分改善されたかと思いますが果たして…。
■因みに当時夜行列車の隣の仕切りには、185cmは有りそうな、大柄で恰幅が良い50歳位の「白色のTurban」をビシッと綺麗に頭に巻き着けた、白髪交じりの黒い髭面が凛々しい、
昔の『インド人もビックリ!』のCatch Phraseが流行語として口々に膾炙された
「明治金鶏 印度Curry のPackageの箱絵」
にそっくりなシーク教徒のオジサンが居たので、夜食で残った茹で玉子を一つ上げたら、Thankyou!とオジサン笑顔で謂い、律儀にも其の場で殻を丁寧に剥き、美味しそうに食して呉れたですね。オジサン爾後直ぐに就寝して仕舞いましたが…。(笑)其の時の笑顔が未だ網膜に残照してますね。もう既にオジサンも逝去しただろうなと思います。旅の思い出にダンニャワード!。有難う!。