貴重Sサイズ COMME des GARCONS HOMME PLUS コムデギャルソンオムプリュス 1994-1995AW縮絨ジャケット PJ-04032S 初期縮絨
コンディションについて:全体的な使用感、経年による商品としての衰え、肩パットの補正(肩パット取り外し)がある為、“やや傷や汚れあり”としておりますが、破れ等の致命的なダメージは無くまだまだ着用いただけます。
恐らく木村拓哉さん着用のジャケットと同時期・柄違いの商品です。
コレクション動画:https://www.youtube.com/watch?v=1UWLVkNwntY
シーズンとテーマ
・1994-1995 秋冬シーズンのテーマは 「Metamorphosis」。
・コレクションは、当時としては比較的新しい試みだった「メンズ/ウィメンズ合同ショー」で発表された、いわば性別の境界を横断するような表現も含むものだった、という記録があります。
デザインの特徴とスタイル:軍服/ワークウェアの引用 (“ミリタリー & ワークウェア” の解釈)
・Fall 1994 のショーでは、「軍服 (military)」が大きなテーマ。縮絨(縮ませたウール生地)などで作られたミリタリージャケットが、あえてショート丈に仕立てられ、ボリュームあるスカートと組み合わせられていた。
・また、エプロン風の服、ワークウェア的なディテール、トラッパーハットやファーハット (fur shtreimel) のようなヘッドギアなども登場。これはワークユニフォームや職業服、さらには異文化/伝統衣装を想起させる要素の引用。
構築とデコンストラクション、非典型シルエット
・伝統的な「ドレス + ジャケット」「スカート + 上着」といった組み合わせを、あえて崩すようなデザイン — 例えば、スリップドレス + 解体風のジャケット (deconstructed jackets) のようなコーディネートが見られた。
・さらに、「縮絨ウール (boiled wool)」を使って “使い古されたような” 質感や、針金のように硬く収縮された生地のシルエット。裾から裏地がのぞくような構造など、素材・構造そのものをデザイン要素として扱った試み。
ランウェイ演出の実験性、メンズとウィメンズの統合
・このコレクションでは、従来のキャットウォーク (歩くランウェイ) だけでなく、モデルがステージで踊ったり飛び跳ねたりするようなパフォーマンス的要素も導入され、「ファッションショー = カジュアルな展示」から一歩踏み込んだ “演劇性/儀式性” を帯びた演出がなされたようです。
・それによって、単なる服の提示ではなく、身体と服、性別の境界、着る行為そのものを問い直す “コンセプチュアルな場” としてランウェイを使う意志が感じられます。
背景と意味 — なぜこのコレクションが重要だったか
・90年代に入っていたとはいえ、この時期のファッション界はまだ「形」「シルエット」「伝統的な性別役割」といった規範に囚われがちだった。しかし、この「Metamorphosis」では、それらの規範に対する再解釈、挑戦が明確に行われた。コレクションは、単なる服の提示ではなく、身体やジェンダー、役割、ユニフォーム、アイデンティティに対する問いを含んでいた。
・また、縮絨ウールのようなテクニック、ワークウェア/軍服の要素、構造の再構築、パフォーマンス的な演出 — これらは後のファッション (デザイナーズブランド界) に大きな影響を与える実験だった。単に「服」を売るだけではなく、「服を通じて何を伝えるか」を重視する、いわゆる「コンセプチュアルファッション」の先駆けのひとつと捉えられる。
・さらに、このコレクションで「メンズ / ウィメンズ合同」「性別の境界をまたぐ」という構想が示されていたことは、今日のジェンダーニュートラル、ユニセックス、あるいはジェンダー流動性のファッションへの道における先例だったと考えられます。