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【LP１枚】国内盤 EAC-60027　永きに亘り第九の決定盤とされてきた名録音だが、今となっては、これを第一に推すのは些か気が引ける。まず第一に、録音が悪すぎる。オーケストラの響きがどの様なものだったのか想像で補いつつ聴くということになるのだが、音楽鑑賞というよりは、ドキュメンタリーの鑑賞という感じ。演奏の方も随分と時代がかっていて、確かに驚くべき熱量の、壮絶なる演奏が展開されているのだが、果たしてこれがベートーヴェンの音楽なのか、と問われたら、いや、これはフルトベングラーの音楽です！と答えることになりそうだし、最初は衝撃を受けるに違いない特徴的な表現も、繰り返し聴くと、こんなに暑苦しい思いをしながら聴かなくても、と思うこととなる。しかし、あの凄惨な第二次世界大戦の結果焦土と化した敗戦国ドイツにおいて、それでも故国の誇りであり、拠り所となりうる対象として、ベートーベンが表現した音楽，とりわけ第九は特別な存在だったに違いなく、また、ヒトラーが愛好した為になかなか解禁されなかったワーグナーの聖地バイロイトがようやく音楽祭再開に漕ぎ着けたその柿落としに、ドイツ音楽界の象徴ともいうべき名匠フルトベングラーが振って幕を開けるオープニング・コンサートが持つ意味合いは、とりわけ大きなものであったのだろう。その興奮が、ここに永遠に刻印されたということの価値は計り知れない。こうした歴史的記録としては、これに並ぶものは二つとなく、誰もが一度は耳にしておかねばならない演奏であることは間違いない。　中古です。小さな汚れあります。まとめて買えばお安くなります。