《木彫・釈迦如来坐像 ― 光背と台座に宿る荘厳》

Silent Majesty in Carved Wood

千年の祈りを今に刻むかのような、精緻を極めた木彫仏の逸品。
本作は、釈迦如来を主尊とし、伝統的な蓮華座に結跏趺坐した姿をとる坐像であり、背面には荘厳な透かし彫りの火焔光背（かえんこうはい）、さらに精密な構造の多層式台座を擁します。

【造形と構成】

• 釈迦如来は、法界定印を結び、穏やかな面相で沈思の境地を表現。顔貌や衣文の柔らかな彫り口からは、彫師の技と信仰の深さが窺えます。
• 光背には、天蓋文様と飛天（びてん）たちの姿が表され、空を舞うように囲みながら、如来の徳を称える構図となっています。
• 蓮台には、一枚一枚異なる表情をもつ蓮弁が丁寧に彫られ、まるで水面から浮かび上がるような動きを感じさせます。
• 台座は、三段構成の高欄付きで、下段には幾何学文様と花卉文が巡らされ、建築的な安定感と荘厳を兼ね備えています。

【宗教的背景】

釈迦如来は仏教の開祖・ゴータマ・シッダールタ（仏陀）を象徴し、悟りの境地に達した理想の姿を表します。
仏像彫刻において最も基本にして最も崇高な主題とされ、禅宗・浄土宗・法相宗など多くの宗派で篤く礼拝されています。

本作のように、飛天を伴う火焔光背と豪華な多層台座が揃った構成は、高位の尊像や本尊級の御本尊に用いられる格式を表しており、観賞・供養のいずれにも資する質を備えています。

【仕様概要】

• 主尊：釈迦如来（法界定印）
• 素材：木彫（おそらく柘植または檜材）
• 構造：一木彫刻＋寄木構成、透かし彫り光背・蓮華座・三段台座付
• 寸法：高さ・幅等は実寸にて別途明記
• 状態：欠損・補修なし。精緻な彫刻状態を良好に維持

この一躯は、ただの木彫工芸品ではなく、
信仰と彫技が交差する「精神の結晶」といえる存在です。

書斎の静謐、仏間の荘厳、あるいはギャラリー展示空間においても、
その佇まいは空気を変える力を持っています。

— 時を超えて祈りを伝える、唯一無二の仏像をどうぞお迎えください。