★Freeway★1997年製 ウェッジウッド「横たわる鹿(Susie Cooper)」。ウェッジウッドにデザインを提供した「アール・デコの女王」への顕彰

★Freeway★1997年製 ウェッジウッド「横たわる鹿(Susie Cooper)」。ウェッジウッドにデザインを提供した「アール・デコの女王」への顕彰 收藏

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c1997 Wedgwood “Recumbent Deer”


ウェッジウッド「横たわる鹿」
“スージー・クーパー”デザイン


「20世紀の女性デザイナー」讃える

デザインブックから「スージーの鹿」

1997年に5,000限定で製作・販売

クラリス・クリフと共にデザイン提供

未使用・箱入りでプレゼントにも


★送料は全国無料。クロネコヤマト便でお送りします。
★常時50点以上を出品中。まだ少数ですがフィギュリンも出品中(アンティーク、コレクション > 工芸品 > 陶芸 > 西洋陶磁 > ロイヤル・ドルトン)
★込み入ったご質問やお問い合わせは次のアドレスへメールしてください。(freeway@deluxe.ocn.ne.jp)

 
 これで多分、3回目の出品。この前の資料を見ると、22,000円という価格を付けていました。取り寄せ先のUSAの未使用品取扱店は、旧製品に関しては在庫当時に付けた価格を滅多に変えない。数が多すぎて料金改定が出来ないのかも知れないが、素直に言えばとても良心的なところ。今回在庫が出来ても同価格でしたが前回より円が40円ほど安くなってしまったので、当方は値上げせざるを得なかった。

 言い訳から入りましたが、解説は前回のまま。楽をさせていただいた。高くもなったので、少しは書き加え、無理やり「新説」を加えました。イザ。

 ウエッジウッドが1997年、「20世紀の女性デザイナー」としてスージー・クーパー(Susie Cooper)を讃えて5,000セットを限定製作したトリオ「横たわる鹿」(Recumbent Deer)です。新品からストックされていた箱付きトリオ。
 出品者は限定版で箱が付いていても、箱の管理が面倒なので、中身だけ取り寄せます。しかしスージー・クーパーを象徴するものであるし、この箱ならばプレゼント用にも使えそうなので、例外的に箱付きで出品することにしました。通常の販売用の箱よりちょっぴり丈夫で、ブルーが濃い。

 正確な時期をお示しできませんが、1980年代中盤辺りから、ウェッジウッドはデザインをクラリス・クリフとスージー・クーパーから購入して、二人のデザインだがウェッジウッド製というカップを、それこそ無数に製作・販売しました。
 スージー・クーパーで最も有名なのは「グレン・ミスト」でしょうか。これは人気の「リー」など数種のシェイプのカップになり、バカ売れした。出品者は地方に作られるようになったブランド品の並行輸入の店で、ウェッジウッドやリチャード・ジノリの定番カップを見てティー・カップに関心を持つようになったのですが、この頃少数の定番品の中で必ず飾られていたのがリーの「グレン・ミスト」を初め、正に数えきれないスージー・クーパーのカップを作ったウエッジウッドです。クラリスのカップは地方では見ることはなく、知ったのは大分後のこと。地方では「グレン・ミスト」以外のスージー・クーパーを見ることもなかったし。
カップに関心を持ってスージー・クーパーを知った頃は、ウェッジウッドの新作よりも、スージー初期のアースウェアの、例えば「ドレスデン・スプレイ」や「タイガー・リリー」といった骨董品がもてはやされるようになっていた。結構多くの人が、ウェッジウッドの新作から知って、彼女のファンになり、色の作品がもてはやされるようになった。

 この「横たわる鹿」(Recumbent Deer)は、スージーがこの絵でカップを作ったわけでなく、彼女が残したデザインブックにあった絵を起こして、レプリカ的なトリオに仕立てたものだと出品者は考えます。
 スージーが何人かのデザイナーと所属した「クラウン・ワークス」から、「スージー・クーパ―・プロダクション」時代まで、バックスタンプにもう鹿が飛び跳ねる模様が使われています。
彼女が残したデザインブックの鹿の絵を使った。この鹿のマークはスージーを象徴するものであったわけで、ウェッジウッドはこの絵をカップにせず、このメモリアル版版製作まで温存していた。
 スージーを顕彰する記念版デザインとして、これ以上のものはない。ウェッジウッドのグッド・ジョブでしょう。数十のウェッジウッド・スージーを集めるよりこの一作。そうお薦めできる。

 1950年代からわずか20年ほどですが、アート・ディレクター、ヴィクター・スキレーンとアール・デコの女流絵師、ミリセント・タプリン、そしてピーター・ウォールの3人の天才が爆発的な量でカップのデザインを作り大ヒットさせました。戦後ウェッジウッドが世界一のブランドになる道を拓いた。
 3人の後のウェッジウッドのデザインに大ヒットはありません。スキレーンの死を境にチームは消え、うまく後継へのバトン・タッチが出来なかった。1960年代はその遺産でしょうばいできたものの、幾詰まりを見せていた。
 そこで投入されたのがクラリスとスージーのアール・デコの女王二人。クラリスは既に引退、スージーは念願のボーンチャイナ化を始めたが、支えであったご主人を失って「終わり」の時期を迎えていた。名声は高かったが、アール・デコの時代は去ろうとしていた。そんな時期に二人の膨大なデザイン(絵)を買い込んだウェッジウッドが多種大量に二人の名を冠したカップを販売します。1980年代一杯、ウェッジウッドはこれで大稼ぎし、世界一の座を守ることができた。
 大いに稼がせてもらったウェッジウッドのお礼の気持ちが籠った記念版「横たわる鹿」です。

 昔はそんなこと気付きもしなかった。いま少し触れなければならないのはこのトリオが例の、コンピューター制御の多重転写で「印刷」が行われたものだという点。
 「フローラル・タペストリー」など旧ウェッジウッドの高級カップは、ハンドル下が広く白で空いている。コンピューター制御で何枚もの転写を重ね、深みある「印刷」を行う。
ハンドル下の空白部分がこれより少し狭いのがそれ以前のコンピュータ制御の転写でしょう。
 今更こんな解説をしてもむなしいような気持ちもあります。出品者は何時、ウェッジウッドがこうしたコンピュータ制御の転写を始めたのか分からないなあ出済ましてきました。今つらつら考えるに、それはこの時期。スージー&クラリスのデザインを製品化したことに始まるのではないか。

 外部デザイナーがデザインブックに残したオリジナルの絵をウェッジウッドがカップに使う場合。社内デザイナーがこれを描き写すということはできないのではないか。それは「コピー」となり、悪く言うと「模造」になる。ドイツ系名陶が大昔の名作を手描きしたかのカップに関し、一、二度色んな事を教えて下さった、景徳鎮の日本支社の技術の方が、「これは写真印刷でしょう」と教えて下さった。
 写真を撮影し、転写紙で色を重ねる。「写真印刷」といってもプロの窯のそれは簡単なものではない。転写を重ねることで深いオリジナルに近い色を作る。時には立体感を出すために一部筆で色を加える。一見して手描きとしか見えない「レプリカ」ができる。

 世紀末に20世紀記念として5種ほどウェッジウッドが作った「ヒストリック・タウン」というトリオのミニシリーズがありました。あれが写真印刷。しかし例えば建物前の木立の所がザラザラして、緑の顔料が盛ってある屋に見えたりしました。かなり高度な写真印刷であった。
 大小色々ですが美術品とも言えるアール・デコの女王の原画をカップに移すのだから、ウェッジウッドはこれを機に写真印刷、コンピューター制御の転写を開発したのであろう。色んな知識を与えられながら築かずやり過ごした出品者は、相当なボンクラであったわけですが。

 三角のハンドルを持ったクラリスのティーカップなんかはアースウェアにも見えますが、ボーンチャイナです。アースウェアだと表面がザラザラでカラー転写はしにくい。クラリスのカップは絵は単純だが、手描きの色と線を再現するため複数回転写を重ねる必要があったと思われる。高い転写技術と機械を開発したウェッジウッドはこれを機に「全面転写」に踏み切ったのではないか。ここら辺りは全くの当てずっぽう。

このカップのシェイプはハミングバードなんかに使われた「インペリアル」より大きい特別製です。以前はしっかり比べもせず「インペリアル」と書いた。訂正します。
 
 訂正しなければと思ったのは、最近になってようやく「ダイナスティ」を取り寄せ出品したから。あれも「最後のチャイニーズ・タイガ—」とか、「北京オリンピック記念」とかで。やはりメモリアル・カップであって、このスージ顕彰カップと同じシェイプであることに気付いた。
 皆様は他にこのシェイプのウェッジウッドをご覧になったことはおありでしょうか。出品者は思いつかない。
絵柄を大きく広がりをもって見せるカップであり、実用を考えたモノに非ず。丈夫だから使えますが飾って大事にしてください。

 このトリオのサイズは次の通り。
 カップの高さ5.5cm、口径8cm。ソーサーの直径14cm。サラダプレートの直径は20.5cm。ソーサーとプレートの色合いには昔風のアースウェアの味を出そうとした努力が見られます。

★スージー・クーパー★Susie Cooper
 Susie Cooper の名で広く知られたスーザン・ヴェラ・クーパー(Susan Vera Cooper、1902年10月29日 - 1995年7月28日)は、1920年代から1980年代までストーク・オン・トレントの陶器産業界で働いた、イングランドの著名な陶器デザイナー。
 クーパーは、ストーク・オン・トレントのスタンフィールズ に、7人きょうだいの末子として生まれた。彼女は幼い頃から絵を描くことに興味を示し、バースレム美術学校 (Burslem School of Art) の夜間教室に通って美術教育を受け始めた。1922年にA・E・グレイ社 (A.E. Gray & Co. Ltd) の製陶工場で働くようになったが[2]、その目的のひとつはロイヤル・カレッジ・オブ・アートに入る足がかりとすることにあった。

 グレイ社の創業者であるアルバート・エドワード・グレイ (Albert Edward Gray) は、クーパーの絵描きとして、デザイナーとしての才能をすぐに発見し、程なくしてクーパーは自分の手描きで花柄のデザインを制作するようになった。1923年、グレイ社はラスター彩の技法を用いたグロリア・ラスター・レンジ (the Gloria Lustre Range) のシリーズを始めた。
 1929年、装飾を描くだけでなく、陶器の形状もデザインしたいという望みを叶えるため、クーパーは、義兄アルバート・"ジャック"・ビーソン (Albert "Jack" Beeson) とともにグレイ社を退社し、自らの事業としてスージー・クーパー・ポッタリーズ (Susie Cooper Potteries) を設立した。1938年には、結婚し、後に1男をもうけた[2]。

 その後、何十年間にもわたって、クーパーはウェッジウッドを含む数多くの陶器メーカーのために仕事をした。スージー・クーパー・ポッタリーズは、1966年にウェッジウッド・グループ傘下に入ったが、1980年にバースレム (Burslem) の工場が閉鎖されるまでは経営上の独立が維持された。 クーパーは、1940年には、Royal Designer for Industry, RDI の称号を与えられ、1979年には大英帝国勲章 (OBE) を授与された。
 エリザベス王太后は、クーパー作品の愛好者であったと伝えられている。
 クーパーは80歳で引退してマン島へ移り住み、1995年に同地で没した。クラリス・クリフ (Clarice Cliff) やシャーロット・リード (Charlotte Rhead) など、スタッフォードシャー陶器業の他の陶器デザイナーたちと同様に、クーパーの作品は陶器収集家の間に強い需要があり、高値が付けられている。

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