内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。
Robert Fripp(G/Mellotron)、Mel Collins(Sax/Flute/Mellotron/Vo  後にCamel/21st Century Schizoid Band/Stray Cats/Tears for Fearsセッション他)、
故Pete Sinfield(作詞、照明・映像等担当。当時サウンド・エンジニア兼音響操作担当。ステージ上には登場しない)、
故Ian Wallece(Ds/Vo 後にBob Dylan/21st Century Schizoid Band他)、故Boz Burrell(Vo/B 後にBad Company)となります。
(尚故Pete Sinfieldは1972年1月1日に解雇となり、後のツアーには不参加)
1971年11月13日米国ミシガン州デトロイト”The Eastown Theater”での実況録音からの抜粋となります。
Robert Fripp許可の下、現King Crimsonライヴ・サウンド・エンジニアで知られるDavid Singleton、
制作エンジニアAlex R Mundy監修・編集によるライヴ盤でございます。
御存知!かの問題作”Earthbound”使用音源の一つでございます。
公式とは言えど音響調整機器からのカセットデッキ使用録音を使用という代物。
ノイズ処理等々リマスター技術が発展した現在という事でオリジナル”Earthbound”よりも遥かに音質は向上したものの、何せ基の録音が録音。
限界がございますが、この手の類としては公式(そして有能な制作エンジニアが制作に携わる)とあって非常に良心的な音質となっております。
かの大傑作”Islands”制作直後のライヴがミソでございます.......................................
そもそもはスタジオ・プロジェクト・バンドから脱却しリアル感のあるバンドとして”King Crimson”再生を目指したRobert Fripp。
オーディション選考に現れたギタリスト故Boz Burrellを故Ian WalleceとRobert Frippがベーシストとして仕立て上げるなどして、
リアル感のあるバンドラインナップを完成。
1971年4月ライヴ活動を開始。
公演毎に新曲を試しつつ聴衆の反応等を考慮しつつアレンジを加え、新作制作に臨む事となります。
前年10月に新作”Islands”制作に入るものの、アレンジを巡ってRobert Frippと他のメンバーが対立。
感情面にまで悪影響を及ぼした模様で更に対立は深刻化。
またMel Collinsがライヴ用に仕上げた楽曲をRobert Frippが拒否で決定的となり、作品完成時には事実上の解散状態となります。
されど二か月間のアメリカ・ツアーの契約キャンセルが厳しく不可となり、マネージメントはバンドを説得。渋々ツアーに臨む事となります。
その後前座に付いた故Alexis CornerとCollins/Burell/Walleceが意気投合し、前座でセッション参加を繰り返す始末。
更にはRobert Frippが苦手とする”Blues”を即興パートでCollins/Burrell/Walleceが取り上げ、Robert Frippを悩ませる始末。
(これが後々のかの名曲”ProzaKc Blues”に繋がる感が...............................)
プロとして演奏者としての意識は高いもの、音楽性や指向の違いのみならずその拗れや性格面から来る人間関係の破綻を抱えたというツアー。
そのツアー最初期の音源となるのが今作でございます。
さて今作。
破壊的で非常に生々しさのあるライヴでございます。
現在では一部音源が使用された”Earthbound”が改訂版発売され、(今作含め)音質の向上も加えてファンは留飲を下げた訳でございますが、
演奏のスリリングさの裏側は非常に深刻な対立が窺えるというもの。
公式に発表されている”Islands”制作前のライヴ音源で聴かれる創造性やそれに伴う意欲、意気込みは見事な程低いという感。
投げやり感が窺える面も聴かれますが、ツアー最初期という事が有りプロとしては積極的に望むという感が窺えるもの。
演奏/アンサンブルに緊張感、ツアー極初期という事が有りぎこちなさが窺えるものでございます。
また楽曲/演奏によってはRobert Frippが苦手とする”Blues”色が感じられるもの。
(...............特に”In the Court of Crimson King”別ヴァージョン...........過去楽曲をしつこく求める聴衆に対する皮肉の感...................)
人間関係が破綻、バンドはRobert Frippと故Boz Burrell/Mel Collins/故Ian Walleceで引き裂かれており、Robert Frippへの当て付けの感。
(Robert Frippとは対立しつつも、間を繋ぐ感のある故Pete Sinfield.................................)
後の名曲”ProzaKc Blues”に繋がるというものございます.................................
されど諸事情を抱えたとは言え(更には急造ベーシストを加えたラインナップとは言え)演奏・アンサンブルのスリリングさは凄まじいもの。
とりわけ即興パートやその楽曲ではバンド全体が全ての鬱憤を晴らすという感があり更には怒りが感じられ、怖さすら伴うものとなっております。
(御存知!かの名曲”21st Century Schizoid Man”でのRobert Frippのソロが、
【”Earthbound”収録程ではないものの】非常に怒りと鋭さを伴う演奏....................................
但し、”Islands”制作時から現在に繋がる演奏スタイルが完成したという感も...............................)
また故Pete Sinfield在籍時という事が有り、音響効果の後との違いが興味深いものでございます。
大問題作と言われるライヴ盤”Earthbound”同様、
とりわけ即興面では(”Islands”制作前とは明らかに異なる)虚無的で破壊的なアナーキー感が窺えるものでございます。
(”Earthbound”でございますが、かのオリジナル版(笑)は後に現代音楽/ノイズ・アートとして評価する向きがございます。
故Lou Leedの”Metal Machine Music”、かのPat Methenyの”Zero Tolerance for Silence”や故Derek Baileyとの共演盤”The Sign of 4”等々
に繋がる感も........................................)
.................................何をか言わんや、でございます。
故Ian Walleceのドラムソロが後に加入するかの故Jamie Muirを彷彿とさせる面がある事。
かの故John Wetton(ex-Mogul Thrash/Family、後にRoxy Music/Uriah Heep/U.K./Wishbone Ash/Asia/Wetton/Manzanera)を
このラインナップを加えようとしていた事も含めて、
(故John Wetton本人曰くは「Robert Frippの盾になりかねないから当時加入を断った」とも..........)
Robert Frippが”Islands”制作開始時から”Lark's Tongue in Aspic”という(編成含めた)次を”明らかに”見越していたのか?否か? 
そして、その姿勢が他の三名の(感情的含めた)非常に深刻な対立を”更に”招いていたのでは?という疑問も含めて、
非常に興味深いものがございます.................................
この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。