縦:約31㎜(枠33㎜・バチカン含まず)
横:約26㎜(枠29㎜)
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ+
キリスト教にちなんだカメオの中で最も人気の高いモチーフとなっているのが天使たち。
海外市場においても特に活発な競りが行われており、出来のいいものは非常に高額になりがちです。
モデルになるものとしては受胎告知からガブリエル、サタンを打ち倒すミカエルよりミカエル
、さらにギリシャ・ローマ神話に由来するアモールやニュクスなども類似するデザインとして高い人気を誇ります。
さて、そんな天使たちですが、一説によれば世界で最もその姿が知られた天使といえばガブリエルでもミカエルでもなく、ラファエロ・サンティによる絵画「システィーナの聖母」に描かれる名も無い天使であるといいます。
日本においても非常に有名であり、よくイタリアンチェーンのサイゼリヤに飾られているとして、ウィリアム・アドルフ・ブグローの「アモールとプシュケー」とともに、絵の名前は知らなくても見たことはある天使像として最もよく知られております。
今回はそんな知名度を誇るシスティーナの聖母の天使が単独でカメオとなった作品。
数多くのカメオを見てきた私でも過去一度も見たことがない作品で、その知名度に反してカメオとしては非常に貴重です。
もちろんただ珍しいだけでなく彫りは超一流。
貝の瘤を用いた立体彫刻のカメオは現物を手にした時に見えるものと画像では印象が異なるものですが(立体物であるため1点のレンズによる写真と2点の目で見る直視では見え方が違う)その美しい造形は画像でも伝わることと思います。
カメオとしては小さいものの、素材の高さに制限がある以上サイズが大きく成れば相対的に像の高さは低くなることや、モチーフがまるまるとした小天使であることが相まって、この作品の完成度はこのサイズであればこそと思わせる強い魅力があり、こういった感覚は当ギャラリーでも特にお問い合わせが多いミニカメオの傑作「メデューサ」以来です。
カメオのサイズはその価値に明確に影響するためカタログとしておりますが、そうした物理的な価値とはまた違う価値を持った作品で、わずか30㎜程のカメオにおいては比類なき傑作であると思います。
貝はやや濃い目のカフェオレ色に濃い白色が美しいサルドニクス。
中間層をほとんど持たない素材でありながら、羽はそのわずかな中間層に当たるよう彫られていて、本作者の尋常でない技量の高さが垣間見えます。
状態は極めて良好、ヘアラインなし、目立つ色混じりなし、欠け・摩耗等表面損傷もなしと完全な状態といって差し支えありません。
フレームは14ktゴールド製。
もともとはブローチだったようですが、ピンやキャッチは取り除かれ丸カンがつけられています。