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対象読者
【推奨分野】
歴史学・社会経済史における需要
* 【日本近世史】 江戸時代の政治、経済、社会、文化に関する基礎的な研究資料として、学生や若手研究者の入門書、または既存研究の概観として利用されます。
* 【都市史】 京都、大坂、江戸という三都の機能、都市構造、住民の生活、相互関係を比較研究するための基礎資料として活用されます。
* 【社会経済史】 「東廻り・西廻り航路」や「特産物生産」に関する記述は、近世日本の物流や商品流通、経済発展を研究する上で重要な手がかりとなります。
* 【経済史】 享保改革や田沼意次の政策に関する記述は、幕府の経済政策、貨幣流通、貿易政策を分析する上での出発点となり、当時の経済動向を理解するのに役立ちます。
* 【政治史】 享保改革や田沼意次の政治、そして松平定信による寛政の改革への移行過程を研究する上で、当時の政治権力構造や政策決定プロセスを考察する資料となります。
* 【民衆史・社会史】 「百姓一揆の激化」や「打ちこわし」に関する記述は、近世の民衆の抵抗運動や社会不安を研究する上で欠かせない情報を提供します。また、「江戸っ子の裏面」や「黄表紙の世界」といった内容は、当時の民衆文化や思想を研究する上で重要な資料です。
* 【文化史・美術史】 「浮世絵・黄表紙」や「三都の名物」に関する記述は、江戸時代の文化や芸術、風俗を研究する上での基礎的な情報となります。
その他関連分野における需要
* 【地域史・郷土史】 本書に記載されている「会津御蔵入騒動」や「米沢藩の藩政危機」といった具体的な地域に関する記述は、それぞれの地域の歴史を研究する上で有用です。
* 【地理学】 「東廻り・西廻り航路」や「城下町の機能」に関する記述は、近世日本の交通ネットワークや都市空間の変遷を研究する上で参考になります。
* 【文学・出版史】 「黄表紙」に関する記述は、近世の出版文化や文学の動向を研究する上で、当時のベストセラーやメディアの役割を考察する材料となります。
* 【法制史】 享保改革における「公事方御定書」や一揆に対する「一揆の頭取は死罪」といった記述は、近世日本の法制度や刑罰を研究する上で重要な情報源となります。
* 【教育学】 高校や大学の歴史教育において、江戸時代の社会経済や文化を教える際の補助教材や、学生の自主学習用の参考文献として活用されます。
この本は、多様な分野の専門家が関わっていることや、豊富な資料提供者・写真掲載協力者が記されていることから、学術的な信頼性が高く、多角的な視点から江戸時代を研究するための優れた出発点となり得ます。
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美意識の変遷―――はじめに―――
目 次
元禄型美人と田沼型美人 主人は大坂、小僧は江戸
◎元禄の世
江戸城大奥
梅津という女性 皮肉な運命 江戸城大奥に勤める その後の梅津 江戸城と大奥
大奥の職制
元禄忠臣蔵
松の廊下 赤穂事件 遺恨覚えたるか 刀傷の原因 浅野の切腹と浪士の復讐 武士
元禄の文化・・・・・
の義理忠義の奨励と徒党の禁武士としては
◎紀文と鴻池
濡れ手で栗の豪商……………
町人の文化 金銀が町人の氏系図
新興商人の活躍
蓄財 奈良茂の遺言 特権商人——賄賂——役人
元禄の江戸豪商 紀伊国屋文左衛門の虚像 紀文と老中阿部正武奈良屋茂左衛門の
大坂の豪商
荷受問屋から仕入間屋へ 江戸十組問屋の成立 三井越後屋の新商法
淀屋辰五郎 闕所事件の背景 鴻池善右衛門の代々 酒造と海運 両替商、鴻池一万
宝永の政変………
石の扶持米 新田開発への投資
芸術と芸者 元禄政治の特質 新井白石の登場 正徳の治の展開
◎京・大坂・江戸
都市の時代 城下町の機能 岡山城下町 東廻り・西廻り航路 敦賀と小浜 北国諸藩と上方
王城の地京都.......
高級技術都市 京都の市制 町組と町代
天下の台所大坂……………
諸色値段相場の元方 大坂の移入商品 大坂の移出商品 大坂の市制
諸国の掃溜江戸 ……………
百万人の大都市 江戸の市制 八丁堀の与力・同心町年寄と三家 江戸の名主 下町
と山の手語源の諸説 パターン化された概念
三 都の比較・・・・
役者の三都論 三都の名物 上方気質
◎享保改革と吉宗
享保改革政治の展開・・・・
八代将軍吉宗 諸事権現様定めの通り 譜代門閥派と紀州派 倹約と緊縮水野忠之
の任命 公事方御定書
大岡忠相グループの活躍
勘定所機構の改編 代官の変貌 名奉行、大岡忠相 大岡グループの人びと 大岡グル
ーブと勘定所 地方巧者の役割
江戸 市中の整備…………
いろは四七組瓦ぶきと火除地 小石川養生所 物価引き下げ令「米将軍」吉宗
胡麻の油と百姓は・・・・・・
最初の打ちこわし
松平乗邑の人柄 悪役、神尾春央 年貢增政策 関東農政の一元化 乗邑体制の
崩壊
◎百姓一揆の激化
一揆の増大と支配体制の動揺
代表越訴型一揆 全藩一揆と広域一揆 会津御蔵入騒動 質入れ地の取り返し 越後
全藩一揆から広域一揆へ……………
頸城騒動 伊達・信夫の一揆幕領支配体制の弱点 盗賊日本左衛門
津山藩の山中一揆 郡上一揆と改易 夕立と騒ぎは青木から 明和の伝馬騒動 ねば
一揆鎮圧体制の整備
りづよい訴願運動知識人層の危機意識
一揆の頭取は死罪 百姓的世界の切りくずし
◎特産物生産と藩政改革
特産物生産と豪農・・・・・
余剰生産物の成立 桐生の織物業 紅花の生産 河内木綿の広がり 綿作技術の伝播
藩政改革と「名君」:
豪農の出現
「名君」「賢相」の時代 米沢藩の藩政危機 上杉鷹山の登場 七人の重臣の抵抗 竹俣
当綱の改革 莅戸太華の改革 松江藩の「御直樹」植栽培の奨励と嫌専売 松平不味
と「御立派」藩専売制の方向 藩国家意識の形成
◎江戸っ子の登場
江戸の拡大
「江戸っ子」と「大江戸」………………………
江戸のスブロール現象 御府内朱引内の範囲 江戸の人口停滞説への疑問
「大江戸」意識の成立 江戸っ子意識成立の背景 江戸っ子の登場 その後の江戸っ子
江戸の日常…………….........
江戸の住空間 長屋の光景 長屋共同体 貸家業と店賃 職人の暮らし 棒手振り商
人の一日 江戸の食べ物
都市江戸を掘る・・・・
歴史考古学の成果 埋葬と副葬品 井戸と穴蔵 天下一の焼塩壷 日常生活の具体相
◎花ひらく江戸文化
錦絵の誕生.....
世風崩るる事早し 墨摺絵から紅摺絵へ大小会の流行 吾妻錦絵 鈴木春信と見立
の世界 錦絵の実用性
いきと通………………....
いきの美意識 いきの構造 趣向と当世通の時代 十八大通
文化の東漸…………..
下り本から地本へ黄表紙の人気 洒落本と通 町人作家・山東京伝 川柳・狂歌と連 遊芸文化と盛り場文化…………………
家元制度の成立 武家奉公と邦楽の発達 天下祭り 行楽地と盛り場 柳沢信湾の
◎新しい学問へのあこがれ
「宴遊日記」 浅草寺参詣
出版界の新動向
江戸の出版業界 尊重サロン 申淑堂サロン 長崎屋と海外情報
西へのあこがれ ....
平賀源内と物産会 ああ非常の人 玄白と『解体新書」 蘭学の発達
町人の時代の学問
懷德堂
石田梅岩と心学 心学の支持者 手島堵庵の教化活動 心学の普及 大坂の町人学校
儒学と国学
儒学の新動向 国学の成立もののあはれ 国学の大成
◎浅間焼けと天明飢饉
浅間山の大噴火 日本のポンペイ、鎌原村 発掘された遺体 ヴェネチア製の鏡 交流
鎌原村の惨状
さかんな宿場 吾妻川流域の大被害 ユニークな復旧
菅江真澄の旅....
相つぐ天変地妖 フランス革命と火山噴火 菅江真澄遊覧記 地獄のありさま
天 明の打ちこわし
江戸打ちこわしの発端打ちこわしの参加者 礼儀正しく狼藉 判決の内容 喧嘩と
打ちこわし
江戸と大坂
◎田沼意次とその時代
田沼意次の実像
田沼時代という時期区分 辻善之助の田沼観異例の出世 紀州系二世グループ 評
定所と勘定所の掌握 関閥の形成と暮閣支配
新気運の潮流.......
重商主義的な積極政策 新貨幣次々に登場 長崎貿易の拡大と石谷清昌 挫折した天
明期の諸政策
田沼政権から松平政権へ・
将軍の死と田沼の失脚 田沼派の抵抗 打ちこわしと定信政権の成立
黄表紙の世界
江戸のベストセラー やれ出たそれ出た 政治情報の民衆化
◎東と西と――おわりに―――
西高東低の経済 下り物と地廻り物 東と西の嗜好論
長屋の風景
巻末引き出し口絵 安治川河口のにぎわい
見返り美人
菱川師宣画
あでやかな衣装と豊満な容姿に、元禄の「浮き 世」の色彩がみごとに表現されている。見返りの 姿態美に品のある色気がただよう。画家の師宣は、 安房国に生まれ、江戸に出て浮世絵師として活躍 した。通称吉兵衛、行と号した。