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僕はこうして作家になった: デビューのころ
五木 寛之 (著)

作家デビュー以前の若き日。激動の時代、熱き思いを秘めて、つねにハングリーだったあの頃……。当時のエッセイや小説の一部、日記など貴重な資料を生かした青春記。五木寛之はどのようにして作家になったのか？　さまざまな困難にぶちあたりながらも面白い大人たちや仲間に出会い、大きな運命の流れに導かれてゆく一人の青年の情熱と熱い日々がいきいきと伝わってくる衝撃の告白的自伝！

レビューより
五木氏のデビュー当時の有様を書いている。
当時の様子は、今書いたものではなく、抜粋と言う形をとっているが、「青春の門」などでおなじみの場面の喫茶店や、五木作品には欠かせない原風景が良く出てくるのは、ノスタルジック？を感じる。五木氏は、ＣＭの作詞家として当初スタートし、日本盛りなどなじみ深いＣＭを作っていたという。作家としてのデビューは、この後でさらばモスクワ愚連隊、青年は荒野をめざすなどで、新人賞、直木賞を取る。五木氏は、「とれる」かどうかは難しいと思っていたらしいが、当時の選考で、反対したのは、中山義秀のみで、その中山も、「もういう事はなく、全てに才能を感じる」としている。この中山評に、五木氏は、年を取られたなと言った感想を持ったとエッセーに書かれている。

60年安保当時のタクシー業界紙の記者、最も熱気があったころのテレビCM制作の現場、レコード業界・・・そして小説家デビュー。「引揚者だから」という諦めにも似た居直りを強みに、生き馬の目を抜くような社会をたくましく生き抜いてゆく五木。そしていまでは感じられなくなった日本社会の熱気。ハチャメチャ青春記の様相で一気に読ませる。それにしても「日本盛」のCMソングが五木の作品だとは・・・・。